プライマリーバランス、2025年度の黒字化は可能? 政府試算の「欺瞞性」をあばく!

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岸田首相は財政支出の継続姿勢を崩さず

   歳出見通しも「激甘」だ。日本では毎年秋に補正予算を編成することが常態かしているが、今後の歳出見通しには補正予算編成の影響が組み込まれていない。

   岸田首相は「経済あっての財政であり、間違ってはいけない」と大規模な財政支出を続ける姿勢を崩しておらず、大規模な補正予算の編成は避けられない状況だ。

   成長率や歳出見通しなどあらゆる指標を最大限、過剰に見積もって初めてPB黒字化がやっと見えてくるというのが、日本が置かれている現実だということがわかるだろう。

   実際、成長率が名目1%台前半、実質1%程度で推移する実情に近い前提で仮定した「ベースラインケース」の場合、PBは26年度時点でも4.7兆円の赤字になる見通しだ。補正予算編成など実際の歳出がかさめば赤字幅はさらに拡大することになる。

   PB黒字化目標は政府にとって、与党の強い歳出拡大圧力をけん制する論拠として重宝されてきた。自民党内の歳出拡大派から「黒字化目標を廃止せよ」という声があがるのも逆説的にそれを証明している。

   しかし、現実離れした試算を続けていては黒字化目標そのものへの信頼度が下がり、歳出圧力への「防波堤」の役割もいずれ形骸化してしまうだろう。

「新型コロナウイルスの危機を乗り越え、経済をしっかり立て直す。そして財政健全化に向けて取り組んでいく」

   岸田首相は「財政健全化」の重要性を叫んではいるものの、杜撰な試算内容を見れば、その言葉もむなしく響く。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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