根付くか!? EVのEMS化
エンタメは、完全な自動運転が実現すれば、移動中の車内の楽しみ方として大きな可能性がある。試作車が映画や音楽を楽しめる設備を搭載しているのも、新たな車内の楽しみ方を探る狙いがあるという。
エンタメや犬型ロボット「アイボ」などで培った課金ビジネスモデルもソニーの強みで、EV自体、またその中でのエンタメで課金モデルを生かすことも検討課題だ。
ソニーの場合、EV量産化といっても、実際に大手自動車メーカーのように自前で自動車生産ラインを持つのではない。今回の試作は自動車のEMS大手「マグナ・シュタイナー」(オーストリア)に委託したが、量産化でも、基礎構造体(車台=プラットフォーム)をマグナ社に任せるほか、世界的な部品大手の独ボシュなどとも協業する見通しだ。
ソニーが構想するようなファブレス化。つまり、スマホや半導体で当たり前になった自社工場を持たないでEMSなどに生産を任せる仕組みがEVでどこまで根付くか――。
トヨタ自動車など大手自動車メーカーは基本的に自前での生産を目指す。なにより、航続距離などEVの性能を大きく左右する次世代の電池「全固体電池」の実用化で、どこが優位に立つかが、今後のEVでの競争に大きく影響するのは間違いないが、そうした技術開発を含め、EVにおいてどんな事業モデルがベストか。その答えは、まだ出ていない。(ジャーナリスト 済田経夫)