管理職は「男性の育休所得」に負担を感じている
さらに、調査では管理職と同僚に「あなたの部下(同僚)の男性が育児休暇を取得することについて、どう思いますか」と聞いたところ、8割を超える人が「賛成」(「業務は調整したり、自分を含めた他のメンバーで負担したりするので、『積極的に取得すべきである』」と「業務の調整や他のメンバー/自分の負担について気になるものの、『どちらかというと取得には賛成である』」と答えた人の合計)しているものの、子どものいる20代~50代の男性(学生を除く)で育休を取得したことがある人は15.4%にとどまった。
くわえて、管理職、同僚ともに取得期間が長くなるにつれ、賛成の割合が減っていき、両者を比べると、管理職のほうがその傾向が強いことがわかる。
3日以内の取得では、管理職、同僚ともに85%以上が「賛成」している一方で、4か月以上の取得になると、管理職は約半数が「反対」と回答。同僚の約40%が「反対」と答えている。管理職は、実際に業務の分担や管理をする立場にいるからこそ、同僚以上に男性社員の育休取得を負担に感じていると考えられる=下のグラフ参照。
パーソルキャリア株式会社 執行役員・転職メディア事業部の事業部長、喜多恭子(きだ・きょうこ)さんは、
「今回の調査では、男女間で将来の男性育休の取得希期間に差があること、大多数の管理職、同僚が男性育休の取得に賛成しており、実態とのギャップが明らかになりました。周囲の賛成の声に反して、実際の取得率が低い傾向にあるのには、二つの可能性が考えられます。
一つは、企業の風土改革、働き方改革の遅れが男性育休を取得しにくい職場環境を作ってしまっている可能性です。男性社員が育休を取得する際の、業務の再検討や再配分などを負担に感じている管理職も存在し、それが取得のしにくさに影響している可能性が考えられます。
もう一つは、収入減への対策が進んでいないことです。この調査では、職場の環境面以上に『収入』をネックに感じている人が多くいることがわかりました。実際に、『生活費や住宅ローンの支払いなど金銭面のことを考え、育休取得はあきらめざるを得なかった』という男性の声が多く聞かれます。環境の整備に加え、経済的に安心して育休が取れる環境を整えることも求められているようです」
とみている。
なお、調査は2021年10月9日~11日に実施。20~59歳の学生以外の男女1675人(女性は、現在妊娠中または将来子どもがほしいと答えた学生以外の20代~50代。男性は、配偶者が現在妊娠中または将来子どもがほしいと答えた学生以外の20代~50代)が対象。