岸田政権「経済安保」推進急ぐ AI、5G、半導体... このままでは中国に製造業の命運を握られる!?

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経済安保の柱は4本

   同様の問題は半導体にとどまらず、先端技術にかかわる製品に不可欠で中国など一部の国に偏在するレアメタル(希少金属)、レアアース(希土類)なども含めた部品・原材料全体の供給網の危機と意識されるようになっている。

   具体的に、どのような政策を進めるのか。政府は経済安全保障推進法案の原案をまとめ、与党に説明を始めている。柱は「供給網」「基幹インフラ」「技術基盤」「特許非公開」の4分野。

   「供給網」では、滞れば国民生活や産業に重大な影響を及ぼす半導体などを「特定重要物資」に指定し、国が供給網の強化に向け、事業者が作成した計画を認定し、資金支援する。半導体のほかレアアースなどを想定する。

   「基幹インフラ」については、情報通信やエネルギーなどのインフラ事業者が重要な設備で安全保障上の脅威になり得る外国製の設備を新たに導入する際、政府が事前審査する。

   技術基盤では量子技術や人工知能(AI)など「特定重要技術」の開発促進に向け、資金支援する仕組みも設ける。

   機密情報の流出対策も規定。官僚には国家公務員法の守秘義務違反などがあるが、民間への罰則も検討する。ただ、民間への「セキュリティークリアランス」の導入は見送る。機密情報を扱う者の適格性を予め確認するもので、公務員に導入されているが、身辺調査などが行われるため、野党が「人権制限になりかねない」と、民間人への適用に懸念を示していた。

   「特許の非公開」は、機微技術の公開を防ぐ狙いがある。日本では特許取得から一定期間後に出願内容が公開されるが、国が安全保障の観点から非公開にできるようにする。対象を原子力技術や武器だけに用いられる技術のうち、「我が国の安全保障上、極めて機微な発明」に限定することで企業への影響に配慮するとともに、発明の実施や開示などが制限されることに伴う損失を国が補償する。

   岸田政権は2021年暮れの臨時国会で、先端半導体工場の誘致を後押しするための関連改正法案と補正予算を成立させ、台湾・積体電路製造(TSMC)がソニーグループを熊本県に建設売る新工場が、その適用第1号になる見込み。これも、実質的に経済安保法案の一部先取りという位置づけだ。

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