夫の年収3500万円専業主婦...働きたい理由「自分磨き」は贅沢? 「ぐうたら生活むなしい」で大炎上! 専門家に聞いた(2)

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   夫の年収が3500万円の40代の専業主婦の悩み。

――ぐうたら生活で、頭の回転が悪くなってきたので「自分磨き」のために働きたい。

   そんな投稿が大炎上している。女性には子どもはなく、結婚後は一度も働いたことがないらしい。仕事を探すにはどうしたらよいか、というのだ。

   「お金があるのだから、寄付かボランティアでもやれば」と冷ややかに突き放す意見が大半だが、「働いて自己実現したい気持ちはわかる」という共感の声も寄せられている。専門家に聞いた。

  • 仕事を通じて自分を磨きたい(写真はイメージ)
    仕事を通じて自分を磨きたい(写真はイメージ)
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主婦業で鍛えられた「家オペ力」「段取り力」が使える

   <夫の年収3500万円専業主婦の働く理由「自分磨き」は贅沢? 「ぐうたら生活むなしい」で大炎上! 専門家に聞いた(1)>の続きです。

――投稿者に対して、多くが「反発」を寄せています。理由は、夫が高収入で子供もなく40代まで専業主婦を続けていること、「ぐうたら生活で頭の回転も悪くなってきた」という発言、「夫の周りの子どものいない奥様はバリキャリで働いているので、自分磨きをしたい」といった姿勢が反発を招いているようです。

川上さん「さきほど、働く動機は人それぞれだとお話ししましたが、家族を養うためであれば善だが、自分磨きであれば悪だというものでは決してありません。投稿者さんの働きたいという思いは、誰からも否定される筋合いのものではないはずです。
何不自由なく生活する投稿者さんへの感情的な反発は、同じ環境を願っても得られない人には贅沢に見えることに起因しているのかもしれません。しかし、働きたいと思う気持ちが心の底から湧き出るものである限り、自らの真の希望の声に、素直に耳を傾けて実現していけばよいと思います」
投稿者は資格の勉強が以前から好きだったという(写真はイメージ)
投稿者は資格の勉強が以前から好きだったという(写真はイメージ)

――それと、仕事はムリだと思うから「ボランティアに生きがいを見出したらいかが」という声も多かったです。こうした意見についてはどう思いますか。

川上さん「働いてみなければわからないことです。専業主婦として20年を過ごしてきた期間は、一般的にブランクと見なされますが、外で働くカンを取り戻す必要性はあるものの、仕事能力が失われているとは言えません。
むしろ、主婦業に真摯に打ち込む中で『家オペ力』(家仕事をオペレーションする能力)が鍛えられ、『段取り力』や『コミュニケーション力』など、ビジネスシーンでも応用できるソフトスキルが磨かれている可能性もあります。
投稿者さんの能力や可能性を把握もせずに、根拠なく貶める声に耳を傾ける必要はありません。
とはいえ、外に出て働くことだけに固執する必要もないと思います。ボランティアも素晴らしい活動のひとつです。ぜひ、さまざまな可能性に目を向けていただきたい。何より大切なのは、自らの意思で進むべき道を決めることなのだと思います」

「働きながら勉強するという方法もある」

――ほかに、投稿者がさまざまな資格を持っているので、「資格の取得や大学で学び直してはいかが」という親身なアドバイスもありました。

川上さん「ボランティアを勧める声と同様に、とても参考になるアドバイスだと思います。投稿内容を見ると、『自分を磨き、本当の意味で自分に自信が持てる』ことが、投稿者さんにとって再就職を目指す目的の大きな部分を占めているようです。
資格取得や大学での勉強などさまざまな可能性に目をやり、自分をさらに磨き自信が持てる状態をつかみ取れるよう、視野を広げられてはどうかと思います。
その際に、必ずしも次のアクションをひとつに絞る必要はありません。まずは気になる仕事を始めてみて、働きながら勉強する方法もあるはずです。
悩まれているのは、投稿者さんご自身の生き方の選択についてです。既成の枠にとらわれることなく、思い切って選択肢を洗い出してみればいいでしょう。選択肢を洗い出す際に、ワガママなどと思う必要も、誰に遠慮する必要もないはずです」
大学に入って勉強しようかな(写真はイメージ)
大学に入って勉強しようかな(写真はイメージ)

――ただ、その際、夫の姿勢が問題ですね。家から絶対に出したがらないようで、投稿者は「理由は浮気の心配かもしれない」とにおわせています。

川上さん「夫には夫の望む妻の姿や状態があるのでしょう。人生を共にしている以上、夫の理解を得ようと努める必要はあると思います。
夫は、投稿者さんが働くことには反対で、束縛の強い人のように見えます。でも、浮気の心配も含めて投稿者さんを大切に思っている裏返しでもあるように感じます。
しかし、投稿者さんの人生は投稿者さんのものです。夫は夫で、人生のパートナーが何を望んでいるのかに耳を傾ける必要があるはずです。投稿者さんご自身の率直な思いを夫と共有し、夫に応援してもらいながら実現できるような方向で話し合うことができればと願います」

――川上さんなら、投稿者にどうアドバイスをしますか。

川上さん「投稿内容を見る限り、投稿者さんの中で、やりたいことがまだボヤケていて、情報が不足しているように感じました。まずは、意思決定をするために必要な情報収集に集中されたほうがよいと思います。
情報不足のまま夫と話をしても、相手も話に説得力を感じず、単なる思いつき程度に思われてしまう可能性もあります。今回の投稿自体も情報収集手段として、とても有意義だと思います。
たとえば、求人情報をのぞいたり、再就職セミナーに参加したり、ボランティアなど気になる活動に顔を出したりと、可能なことから行動を起こす。そのなかで、ボヤっとしていた希望が、よりクリアになっていくことと思います」

「夫が最も身近にいて、最も強力な味方になってくれる」

夫は私の願いに聞く耳を傾けてくれるだろうか(写真はイメージ)
夫は私の願いに聞く耳を傾けてくれるだろうか(写真はイメージ)

――なるほど。あれこれ悩むより、まずはいろいろとアクションを起こしながら、自分が本当にやりたいことをハッキリさせていく、ということですね。そうでないと、頑固な夫を説得できないというわけですね。

川上さん「そのとおりです。周りからはうらやましく見える環境で生活している投稿者さんですが、その悩みは本人にしかわからないはずです。そして、人生の選択権も自分にしかありません。
投稿のやり取りを拝読すると、投稿者さんはしっかりと人からのアドバイスに耳を傾ける姿勢をお持ちのように感じます。さまざまなアドバイスを参考に、失敗を怖れず、ご自身の意思で進むべき道を選択していただきたいと思います。
ときに上手くいかないことがあったとしても、意思がある限り、何度でもやり直すことはできるはずです。本気で物事に取り組む姿を、人は応援します。夫もしかり。投稿者さんの真摯な姿を見てもらうなかで、夫が最も身近にいて、最も強力な味方になってくれる、そんな関係性が構築されていくことを願っています」

(福田和郎)

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