「Z世代経営者」続々登場! 彼らの「新常識」、旧世代と何がどう違うか?(大関暁夫)

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昭和世代経営者も見習うべきものがある

   ベンチャーエンタープライズセンターの調査によれば、ウィズコロナが定着の色を濃くした昨年後半のベンチャー投資は、前年比7割以上も伸びている、と言います。そのすべてが「Z世代経営者」ばかりではないものの、彼らがこの増加傾向に寄与していることは確実。彼らの経済界、産業界への影響力は、次第に大きくなってきている、とも言えるでしょう。同時に、若い企業経営者が、大挙して世に出ることによって、我が国の企業経営や産業構造の常識は大きな転換期を迎えつつある、ということにもなりそうです。

   では「Z世代」の新常識は、旧世代の常識と何がどう違っているのか。彼らの特性について取り上げた新春の記事を総括すると、以下のようなことが挙げられそうです。

   ひとつは、彼ら世代の経営者同士が、旧来の経営者同士よりも容易に仲間や同輩としてつながることを躊躇しない、ということが指摘されています。旧来は、経済団体や同業者組合のような場での交流を通じて、若干のつながりは持ちつつも、それはあくまで儀礼的なものだったと思います。本業の肝心な部分は「企業秘密」として絶対に明かさない、というのがこれまでの経営者の常識でありました。しかし「Z世代経営者」では、メリットありと考えるならば、躊躇なく新興勢力同士手を組んで価値向上をめざす、という考え方が一般的になっているのです。

   これは、昭和世代経営者も見習うべきものがあると思います。失うモノがあるという可能性を恐れるよりも、得るものがあるという可能性を重視する。そんな姿勢は、合理性を重視する彼らの基本スタイルそのものです。これからの時代を生き抜くマネジメントの重要なピースになるのではないかと考えます。

   資金調達に関しても、彼らなりの合理的な考え方があるようです。たとえば、旧来「負け組」としてとらえられがちだった他社による資本注入という形での資金調達も、彼らの感覚では自己の事業に対する評価として前向きにとらえます。むしろ、それを活かして、より大きな成功をつかむための当たり前のステップとする傾向にあるのだと言います。

   たとえそれが海外からの投資であっても、むしろ自己の事業の海外での評価を知る格好の機会である。こんなふうに、前向きに受け止め積極的に受け入れる姿勢が、新常識になりつつあるようです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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