アフターコロナに求められるヒトとは、カイシャとは
――変化が激しく、また未来が不確実な時代です。「学び続ける」というモチベーションが大切になってくるようですね。
寺田さん「VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の影響は、今後ますます顕著になるでしょう。また、10年後に人間がしている仕事の半分は、現在はない仕事だとも言われます。このような時代には、不確実なことにも怖気づかずに挑戦できる人、むしろ好奇心を胸に前へ前へと進むことができる人、経験のない初めてのことでも『面白そうだ』と思える人が組織の力になります。
今までは、経験したことのない役目を与えられた時には、『Not my job thinking(この仕事は私の担当じゃない、という後ろ向きの思考)』が通用していたのが、これからは、『Now my job thinking(今からはこれが私の仕事だ、がんばろうという前向きな思考)』が求められるようなるのです」
――変化に柔軟に対応できる人、変化を楽しめる人を育てるには、何が必要なのでしょう。
寺田さん「『自ら学ぶ力』を育てることです。新しい挑戦をするときに、どんな知識や技術、あるいは態度が必要なのかを自ら分析して、学び、仕事に活かすことが、いつでもできるような環境を整えることです。その一つの方法が、ICTを活用したeラーニングの仕組みです。
今までのように、決まった時期に研修室に集めて講義をするのではなく、日常のいつでもどこでも、仕事をしながら必要なことが学べる環境は、やはりeラーニングでないと実現できないことです。単に動画を見たり、マニュアルを読んだりするのとは異なり、eラーニングのシステムを使用すると、理解度の自己チェックをして達成感を味わったり、個別のフィードバックによって学んだ事を活かす方法を模索することも可能になります。かつては、eラーニングのシステムを導入する、というと費用面も管理面も担当者には大きな負荷がかかったものですが、現在は違います。必要な期間、必要な学習コンテンツを自由に利用して、担当者は進捗や達成度をリアルタイムで把握できる、そんな環境が手軽に使えるようになりました。
まず、人材育成の担当者が、『新しい学びの仕組み』であるeラーニングシステムに好奇心を持ち、面白がって使ってみる、そうした『新しい経験から学ぶことを実践する』ことから学びのDXは始まると思います」
(聞き手 牛田肇)
▼前編は、こちらからも読めます。
コロナ禍で何が変わったのか? 求められるのは「社会の変化にスピーディに対応できる」学びの環境 寺田佳子さんに聞く(前編)
https://www.j-cast.com/kaisha/2022/01/18428954.html
寺田 佳子(てらだ よしこ)
インストラクショナルデザイナー株式会社ジェイ・キャスト執行役員 eラーニング事業本部 本部長
日本eラーニングコンソシアム理事 / eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長 / 熊本大学大学院教授システム学専攻非常勤講師 / 日本大学生産工学部創生デザイン学科非常勤講師。
ICTを活用した人材育成のコンサルティングの他、リーダーシップマネジメント、プレゼンテーションセミナーなどの講師として国内外で活躍。
『学ぶ気・やる気を育てる技術』(日本能率協会マネジメントセンター)他、著書・訳書多数。
ジェイ・キャストで提供しているeラーニングシステム「オール優」など、eラーニングコンサルティングも多数実施。