金融政策の修正必要ない...「永久緩和」決めた「黒田日銀」に呆れるエコノミストたち

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

「悪いインフレ」の進行でお先真っ暗?な日本経済

   さて、その黒田総裁は記者会見でどんな発言をしたのか。NHKニュース(1月18日付)によると、こうだ。

「(黒田総裁は記者会見で、)資源価格の上昇による物価上昇は一時的なものにとどまることが多いと指摘したうえで、『持続的な物価上昇には賃金の上昇が極めて重要だ。日銀としては、企業収益の増加や賃金の上昇を伴いながら、物価上昇が緩やかに高まっていくという好循環をつくりだすことを目指している』と述べました。
さらに黒田総裁は『物価が2%に向かって着実に上昇しているわけではない。利上げをはじめ、現在の大規模な金融緩和を変更することはまったく考えておらず、そうした議論もしていない』と述べました」
退陣の日まで「永久緩和」を続ける気の黒田東彦・日本銀行総裁(日本銀行の公式サイトより)
退陣の日まで「永久緩和」を続ける気の黒田東彦・日本銀行総裁(日本銀行の公式サイトより)

   こうした発言をエコノミストたちはどうみているだろうか。

   1月18日付オンライン版日本経済新聞の記事につく「ひとこと解説」欄では、同紙編集委員の滝田洋一記者が日銀事務方の動きをこう説明した。

「日銀は早くも啓蟄? 物価見通しで注目したいのは、政策委員のリスク評価。2022年度については上振れ派3人、下振れ派2人、上下バランス派4人と、上振れ派が下振れ派より多い。23年度も同様に上振れ派3人、下振れ派2人、上下バランス派4人です。
これまで見通しを下回り続けてきた物価だが、今回はちょっと違うぞと政策委員たちが思いだしている様子が、浮かび上がるようです。一方、マクロ的な需給ギャップは足元ではマイナス圏ですが、それについても『23年度前半頃にはプラス転換』との見通しを示しています。このあたりは、黒田総裁の任期中の花道利上げを視野に収め始めたことを、事務方が示唆しているのでしょうか」

   ヤフーニュースのコメント欄では、ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト渡辺浩志氏がこう分析した。

「インフレ見通しの上方修正は、海外発のコスト高を反映したもの。賃金が上昇しないなかで相次ぐ生活必需品の物価上昇(悪いインフレ)は、家計の購買力を押し下げ、消費者心理を悪化させ、人々の生活防衛意識を高めさせます。個人消費の減少を招き、スタグフレーションのリスクを高めるものといえます。賃金上昇や需要増にけん引された安定的な物価上昇(良いインフレ)は展望しづらい状況です」

   スタグフレーションとは、景気が後退していく中で、インフレーション(物価上昇)が同時進行する現象をいう。景気停滞を意味する。「(景気の)持ち直しが明確化している」とする日銀の分析とは真逆の見方だ。

   また、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も、同欄でこう批判した。

「日銀が金融政策の出口に向かうには、同じ2%でもデフレギャップが解消することに伴うディマンドプルインフレが必要でしょう。仮にコストプッシュで一時的に2%をオーバーシュートしたとしても、それは所得の海外流出を伴っており、持続的なインフレは期待できないからです。そもそも、GDPデフレーターがマイナスの状況では金融政策の出口などありえないと思います」

   原油価格上昇と円安で燃料代が上がって、お米の値段が上がるのが「コストプッシュインフレ」。一方で、みんながお米を食べるようになって、つまり需要拡大で値段が上がるのが「ディマインドプルインフレ」だ。日銀が本来目指している物価上昇は、「良いインフレ」のディマインドプルインフレのはずだが、現在の状況はコストプッシュの「悪いインフレ」ではないか、と指摘するのだった。

(福田和郎)

姉妹サイト