「後継者難」倒産のほとんどが「消滅型」
「後継者難」倒産で最も多い形態は、「破産」で351件(前年比4.7%増、前年335件)。構成比は92.1%だ。これは、前年(90.0%)より2.1ポイント上昇して、過去最高を記録した。
「特別清算」は17件(前年比112.5%増、前年8件)で、初めて10件以上となった。「後継者難」倒産は、ほとんどが「消滅型」の倒産だった。一方、再建型の民事再生法は1件(前年2件)だった。
負債額をみると、1億円未満が前年比0.7%減の271件(構成比71.1%)と、4年ぶりに前年を下回った。 ただ、5000万円以上1億円未満が87件(前年比11.5%増)、1億円以上5億円未満が98件(13.9%増)、5億円以上10億円未満が8件(前年7件)と、それぞれ2年連続で増加した。
また、資本金別では、1000万円未満(個人企業他を含む)が205件(前年比1.4%減、構成比53.8%)と半数以上を占めた。一方で、1000万円以上5000万円未満が166件(前年152件)と増加した。
中小・零細企業だけでなく、中堅規模の企業でも、事業承継の問題は顕在化してきているかっこうだ。
東京商工リサーチは、
「長引くコロナ禍で業績回復が遅れ、後継者の育成や事業承継への準備を先送りにしているケースがある。さらに、高齢の代表者ほど長期的な経営ビジョンを打ち出せず、事業継続へのリスクが高まっている。中小企業は代表者の高齢化が進み、事業承継への対応が急がれる」
としている。
なお調査は、「人手不足」関連倒産(後継者難、求人難、従業員の退職、人件費の高騰)から、2021年(1~12月)の「後継者難」倒産(負債1000万円以上)を抽出して分析した。