【2022年の不動産・住宅市況】中古住宅&賃貸住宅はどうなる? 住宅ローン減税見直し、続くコロナ禍の影響は?(中山登志朗)

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中古住宅の価格高騰は、まだまだ続くのか?

   一方、価格面についてはどうでしょうか。

   結論から述べると、私は中古住宅の価格(とくに、需要の旺盛な都市圏中心部および近郊エリア)は、住宅ローン減税が縮小されても下がらない。もしくは、上昇率が若干縮小するものの、引き続き安定的な価格上昇が起きる、と考えています。

   その主な理由は、新築住宅の「価格推移」の見込みです。

   これもまた、住宅ローン減税の話になりますが、新築住宅は2022年4月以降、中古住宅同様に控除率が0.7%に縮小されるものの、減税期間は13年に据え置かれます。

   さらに、2022年度からは、長期優良住宅などの認定住宅は、ローン元本の上限が5000万円であることにくわえ、エネルギー効率の高いZEH(ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅は上限4500万円、省エネ基準適合住宅も上限4000万円とされています(これらが新設されたのは2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けた施策です)。

   この条件に沿って、減税総額を単純計算すると、それぞれ最大で認定住宅は455万円、ZEH住宅は409.5万円、省エネ基準適合住宅は364万円となります。

   つまり、新築住宅に関するローン減税の総額は、事実上大きく変わっていないのです。依然として、まとまった金額のローン控除という恩恵を受けることができるのです。

   そのため、控除率が0.7%に縮小されただけでは、コスト高や住宅ローン金利が低水準であることも含めて価格が下がることはほぼイメージできません。

   したがって、価格の高騰によって、新築住宅の購入をあきらめたユーザーが中古住宅を検討することになっても、(もちろん個々の条件次第ではありますが)価格が現状よりも弱含むという状況なることはほぼないといえます。

   地域差はあるものの、テレワークの普及・定着によって、ニューノーマルといわれる新しい生活様式が選択されるケースが増えました。それに応じて、ユーザーの住まい、および、住まい方に関する考えの変化も生まれました。

   そして、住宅を買い替えること、また、住み替えてコロナ後にも対応できる生活をイメージすることに関心が集まっています。

   こういった傾向があることも背景として、2022年も中古住宅に対する需要は高い水準で続くものと考えておくべきでしょう。

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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