「相場は相場に聞け」という相場格言がある。投資家であれば、一度は耳にしたことがある格言ではないだろうか。
日本証券業協会の相場格言集には、
「仮に下げ相場であれば、何を見ても一斉に弱気を示しているようなとき、つまり夜明け前がいちばん暗いといわれるようなそういう時期を感じ取って、買いに回れといい、上げ相場なら過熱状態になったら売るべきだといっているものである。
決して上げの途中、下げの最中で流れに逆らえといってはいない。そういうときは、心静かに相場に耳を傾ける。『相場はどの方向に向かうのか』と、虚心に相場に問いかけてみるべきだろう。それが『相場に聞け』の真意である」
と解説している。
昨秋に公募増資、1株利益の希薄化で「売られた」が......
今日の日本経済を支えている柱は、自動車や半導体関連で、株式市場でもこれらの関連の銘柄が大きなウエイトを占めていると考えている。そこで、半導体関連株の中で一つ(100株)24万円前後と比較的安い価格で買える「SUMCO株」を選んでみた。
昨秋、日本経済新聞の「銘柄診断」にSUMCOが掲載されていた。
「(2021年10月)1日の東京株式市場で半導体シリコンウエハ大手のSUMCO株が一時前日比169円(8%)安の2082円まで下落し、約1か月半ぶりに年初来安値を更新した。前日の取引終了後、最先端の大型シリコンウエハの増産を目的に公募増資などで1300億円を調達すると発表。1株利益の希薄化を懸念した売りが広がった。終値は100円安(4%)安の2151円だった」
とあった。
とはいえ、周知のとおり半導体はいまや世界中で不足している。それにより、自動車にスマートフォン、ゲーム機器、家電製品......。ありとあらゆる商品で生産減に追い込まれているのが現状だ。需要は旺盛。ここは株価の下げ幅は限られると読むのが妥当ではないか――。
オミクロン株の登場で景気回復は再び後退
そんなことで、 「相場は相場に聞け」の格言に従い、「心静かに相場に耳を傾けた」つもりでSUMCO株を追いかけた。
そこへ降って湧いたのが、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」だ。2021年11月26日、東京株式市場の日経平均株価は、オミクロン株の感染拡大で景気回復が鈍化するとの見方が強まったことから、2万9000円を割った。SUMCOの株価も2485円(前日比83円安)まで下落した。そこで週明けの11月29日に、2350円で100株の買いを入れてみたが、不成立。当日の安値は2396円だった。
その後、2396円で買いを入れたが、これも不成立。ようやく、12月6日に2385円で100株を取得した。
SUMCO株の次なる買値は、2031円(年初来安値)~2150円(価格帯別出来高1000万株)と考え、2150円での買いを考えている。資金が許せば、基本的に1銘柄400株保有を目標にしている。
ちなみに、2022年1月14日のSUMCO株は前日比122円高の2410円。相場は「まだ、待て」と......。(石井治彦)
【SUMCO】(3436)
年初来高値 2021/4/30 2954円
年初来安値 2021/10/5 2031円
直近 終値 2022/1/12 2410円
2022年1月14日現在 保有100株 平均取得単価2401円10銭