ストリーミング配信が加速した「アーティストの生き残り合戦」
ストリーミング配信も、大物アーティストの権利売却を「巨大ビジネス化」した一因だとされています。コロナ過で音楽フェスやコンサートといった「リアルイベント」が軒並み中止となるなか、ストリーミング配信は勢いを増しています。
ところが、世界中で再生されたストリーミングのうち、なんと3分の2が「2年前以上の曲」だそう。確かに、人々の行動パターンとして、認知度が低い「新曲」よりも、前から知っている「お気に入りの曲」を選ぶ方が「失敗」がないのでニーズがありそうです。
ビジネス的には価値が定まっている「過去の曲」、つまり「殿堂アーティスト」に投資をした方が、新人を売り出したり、リアルイベントを開催したりするよりも安定した売上が見込める、という算段なのでしょう。
世界的に低金利が続くなか、「殿堂アーティスト」の権利ビジネスは、数百億円の投資をすぐに回収できることから、専門家は「lucrative business」(大もうけのビジネス)だと解説しています。
それでは、「今週のニュースな英語」は、この「lucrative」を使った表現を取り上げます。「もうかる」という意味の形容詞ですが、ビジネスの場面でよく使われますし、TOEIC頻出単語の一つでもあります。「うほうほ(もうかる)」といったイメージです。
The merger proved to be very lucrative
(その合併は、結果としてとても儲かった)
She advised me to look for more lucrative business
(彼女から、もっと儲かるビジネスを探すようにとアドバイスされた)
It' a lucrative business!
(儲かるビジネスだ!)
大物アーティストたちの権利ビジネスが「うほうほもうかる」なか、コロナ過でライブ活動ができない多くのアーティストたちは厳しい生活を強いられています。ストリーミング配信の大手・スポティファイには、毎日6万もの新曲が加わるとか。音楽業界の生き残りは、想像以上に厳しいものでした。
(井津川倫子)