自動車業界、新春広告で「ワンチーム」の決意 クルマを走らせる550万人に込めた「裏」メッセージとは?

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   「呉越同舟」で販売数を争っている場合ではなく、協調できる領域では協調して「一つのチームとして戦っていく」(自動車メーカー幹部)べきではないか――。こうした機運が自動車業界で高まったのは、直面する経営環境の変化の大きさと厳しさを物語っている。

   自工会の豊田会長が年頭メッセージの中で、国内で自動車に関わる550万人に向けて「私たちは、できる」と訴えたのは、業界としての団結を呼びかけたものだった。

   もっとも、「#クルマを走らせる550万人」キャンペーンには、別の意味も読み取れる。550万人とは国内の自動車関連産業の就業人口(厳密には542万人、自工会の推計)を指し、全就業人口の8.1%を占める一大産業だ。

   エンジン車と比べれば構造が単純な電気自動車への移行を性急に進めれば、エンジン製造やガソリン販売に携わる雇用はどうなるのか。こういった主張を豊田会長は自工会の立場で繰り返し発信してきた。

   キャンペーンのテレビCMは、実際に自動車関連産業で働く人々が登場するシーンをいくつもつないだ構成だ。「550万人」と業界の大きさを改めて強調することで、政治に対して性急な脱炭素の動きをけん制する意図も込められていると言えよう。(ジャーナリスト 済田経夫)

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