明日は我が身かも?SNS炎上の脅威 企業広報が知っておきたい「危機管理」術

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炎上に参加する心理...憂さ晴らし・祭り・制裁

   ところで、どんな人が炎上に参加しているのか。先行研究などをもとに3つのモデルを示している。

A 「憂さ晴らし」モデル 経済的状況への不満とストレス
B 「祭り」モデル 社会的寛容性の低さ
C 「制裁」モデル 社会認識・社会考慮傾向の高さ

   さらに、著者の吉野さんが行ったウェブモニタ調査の結果、炎上について投稿する人たちは、一種の社会的な活動として参加しているのではないか、と推測している。

   攻撃的な投稿の比率は低く、また、攻撃的な投稿はリツイートされにくいことも合わせて考えると、ほとんどの人に攻撃的な投稿は支持されない。だから、「普通の人」が参加しているのでは、と見ている。このあたりは一般的な「炎上」のイメージとはかけ離れている。

   最後に、危機管理について、企業の広報担当者へのアドバイスをしている。

   炎上の対応に成功した事例と失敗した事例は興味深い。いわく、すみやかな対応、誰にどう謝るのか・謝らないのか判断する、ごまかされないの3点がポイントだ。本文では、企業名とともに事例を多数挙げているので、参考になるだろう。

   ちなみに、損害保険ジャパンでは、企業を対象とする「ネット炎上対応費用保険」を2017年から販売している。あくまで対応にかかる費用を補償するものだが、コンサルティングサービスがついているので、すみやかな察知が可能になるようだ。

   炎上にはいろいろなタイプがあることがわかったが、なかには明白に誹謗中傷を目的にしたものがあり、断固たる対応が必要なものがある。その場合の、法的措置を取る際の負担やネットでの抑止法にも触れている。

(渡辺淳悦)

「炎上する社会」
吉野ヒロ子著
弘文堂
2420円(税込)

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