日本企業が「世界一」と誇れる「お金の支払い振りのよさ」に黄色信号? 真面目さと信用でもっと羽ばたいて!

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   近年、「生産性が低い」「チャレンジ精神がない」「女性活躍が遅れている」......と評判ガタ落ちの日本企業だが、「世界一!」と誇れるものがあった。

   それは、お金の支払い振りのよさだ。

   約束期日を堅実に守る律儀さにかけては「100%正確」であるようだ――。東京商工リサーチが2022年1月9日に発表した「日本企業の支払い振り、良さ際立つ=D&B調査」で、明らかになった。

   ただ、最近は、国内企業の中でも、支払いがルーズになるケースが増えているらしい。どういうことか。調査担当者は「国際的に信用される真面目さ、堅実さで、もう一度世界に羽ばたいてほしい」と語っているが......。

支払い振りのよさが日本企業の誇りだったが...(写真はイメージ)
支払い振りのよさが日本企業の誇りだったが...(写真はイメージ)

約束日に支払うのは中国25%、カナダ30%、仏40%

   ルーマニアは約束した日に代金を支払う割合は約1割、中国でも4社に1社だけ――。日本では、仕入などの代金の支払いが約定期日に遅れると信用が低下するが、世界はそんな常識が通用しない国々で満ちている。

   いまやビジネスのグローバル化が進み、海外企業との直接取引も珍しくなくなったが、それにともない、日本企業が代金を期日通りに回収できないトラブルも増えているのだ。

   そんな実情について、東京商工リサーチが業務提携している世界最大級の与信管理調査会社「ダン・ブラッドストリート」(D&B)のパートナー企業が36か国(日本を除く)の支払い振りを分析した。それによると、国によって約定期日の支払い(On time payments)の比率は大きく異なる。

   意外にも、欧米では期日通りに支払わない企業が非常に多く、取引を検討する際、相手の支払い振りの調査が重要になる。このためD&Bは、各国のクライアント企業から月次の売掛情報の提供を受け、データベース化して支払い振りを分析しているのだ。

   さて、2020年の各国の支払い振りを分析したCRIBIS D&B(イタリア)の「Payment Study 2021」よると、期日通り払いの比率は、アジア圏では中国25.2%、香港28%などが低く、台湾72.5%が突出して高く、フィリピン56%、タイ54.8%が比較的高いほうだ=図表参照

各国の「支払い振り」(期日支払い率)(東京商工リサーチ作成)
各国の「支払い振り」(期日支払い率)(東京商工リサーチ作成)

   ほかの地域はどうか。北米・中南米では、米国が55.7%とまあまあだが、メキシコ48.8%、カナダ31%と低い。北ヨーロッパでは、英国42.9%、アイルランド28.9%と低いが、デンマーク88.6%、ロシア73.7%、ドイツ65.1%と群を抜いて高くなる。

   一方、南ヨーロッパに目を移すと、フランス40.4%、イタリア35.7%、ギリシャ23.3%、ルーマニア13.1%と、北ヨーロッパに比べると、いい加減な国が目立つ。温暖なのんびりした気候が影響しているのだろうか。

   しかし、どうも北方や南方といった地理的条件の影響でもないようだ。たとえば、同じイベリア半島に位置するポルトガルが16.4%に対し、スペインは44.1%で、隣国でも支払いへの認識は大きく異なるからだ。ちなみに、アフリカではエジプトが33.7%だった。

   この調査には、日本は含まれていない。しかし、日本企業を同等の基準で分析すると、期日払い率は99%で、ほとんどが請求通りに入金される。世界最高の支払い振りのよさだ。東京商工リサーチの分析によると、これは「手形の厳格な期日決済を含め、長年培ってきた商慣習の結果とみられる」という。

   しかし、海外では期日払いが「当たり前」でないことを理解することが必要だ。ある商社の審査担当者の話として、「海外の企業は、事前確認や督促しないと回収が遅れる」と指摘されている。

   実際に、2020年11月に破産したアパレル大手の「レナウン」(東京都江東区)では、新型コロナの影響に加え、グループ傘下の中国企業からの売掛金約57億5000万円を回収できずに資金繰りが悪化したことがのちに明らかになった。日本企業の「当たり前」が中国では通用しなかったことも、破綻の一因だったわけだ。

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