流通大手とのタッグで新たな販売拠点を確保
キャンドゥにとっても今回の買収は「渡りに船」だった側面もある。100円ショップ業界は、「ダイソー」を展開する大創産業が5000億円を超える売上高で首位に君臨し、2位のセリアも2000億円をたたき出す。続く3位のキャンドゥは700億円程度とケタが違い、上位との逆転は難しい状況だ。
加えて、足元の原油価格の高騰でプラスチック製品などの仕入れ価格が上昇すれば、経営にボディブローのように効いてくる。
イオンのグループに入れば、全国に新たな出店場所を確保でき、イオンの資材調達力を活用することも可能だ。筆頭株主の城戸社長ら創業家は持ち株をイオンが買い取ってくれたことでキャッシュも手にできた。
コンビニ最大手のセブン‐イレブンの一部店舗でダイソーの商品を取り扱うようになったのも、100円ショップの品ぞろえを欲したセブン‐イレブンと、新たな商品販売先を求めたダイソーの思惑が合致した結果だと言えよう。
競争が激しい100円ショップ各社は、本体価格が200円、300円、500円などの商品も開発して、小売業の中で存在感を高めている。流通大手とタッグを組むことで、消費者には、日常生活の中で100円ショップに接する機会が一段と増えそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)