極端に時間の使い方を変えてみては?
まず気になったのは、時間の使い方。こんな原則を挙げている。
原則:変化を感じたいなら、より極端な方向に時間の使い方を変えてみる。そのとき、まずは質よりも量に集中して、蓄積が質を生み出すようにする
たとえば、テレビを見る時間をすべて別の目標の行動に切り替えるとか、SNSを閲覧する時間を、SNSに優良なコンテンツを生み出す活動に切り替えるとかだ。
コア・ハックとしては、「時間の使い方を可視化する」ことを勧めている。就寝時間、食事、出勤、テレビやネットを見ている時間などを1枚の紙に列挙する。そして、それぞれを、能動的に選択しているものなのか、日常の必要経費のように使っている時間なのかを、2列でまとめてみる。2週間分を見ると、どう時間を使っているか一目瞭然のはずだ。
このように、ときには自分の見積もりとの差を意識して、時間の使い方を能動的に選択するようにしたいものだ。具体的なハックとして、「メールにかける時間は1分を基本に」「予定は1時間単位ではなく、30分単位で」「24時間テンプレートで時間の整理をする」「書類やスライドは『不完全』でよしとする」などが参考になりそうだ。
もうひとつおもしろかったのが、タスク管理。紙やポストイットを使ったアナログな方法やデジタルツールを使った方法を紹介している。これらは実践している人も多いだろう。
でも、その中で、「あれっ!」と思ったのは、「やらないことリストでタスクを減らす」というものだ。
堀さんは、「発信者が不明の電話には応じない。午前はメールに応じない。どんな席でも飲酒はしない。時間のムダと決めたウェブサイトは開かない」ことを挙げている。
このほかにも紹介しきれないほど多くのハックが紹介されているが、最後にもうひとつだけ。「集中力と先送り防止」のハックにも、参考になると思ったものが多かった。原則は「やる気が出ることに頼らない。やる気が結果的に生まれる環境や条件を追求する」ということだ。
いつも原稿を書こうとして、なかなか集中できない評者だが、「48分集中して、必ず12分の休息をとる」という「時間分割法」を意識したら、うまくいった。また、「自分の『脱線パターン』を意識しておく」ことも参考になった。
というわけで、本書を繰り返し読むことも評者の日課になりそうだ。それほど、人生を変えるハックに満ちあふれている。本書に出会ったことに感謝したいと思う。
(渡辺淳悦)
「ライフハック大全 プリンシプルズ」
堀正岳著
KADOKAWA
1386円(税込)