人生や仕事を変えるのは、こんなに「小さな習慣」だった――。毎日の行動を、数分で実践できる「近道」で入れ替えるうち、やがて大きな変化を生み出す。本書「ライフハック大全」は、タスク管理から人生航路まで、ネット時代の新しい仕事術を解説した本だ。
「ライフハック大全 プリンシプルズ」(堀正岳著)KADOKAWA
著者の堀正岳さんは、人生(ライフ)の問題をハック(あざやかに解決)する、「ライフハック」を日本に紹介した第一人者だ。本業は北極における気候変動の研究者で、ライフハック、IT、文具などをテーマにするブロガーでもある。
「ライフハックとは、人生に長い目でみて変化をもたらすような、小さな行動」
著者が2017年に刊行した「ライフハック大全 人生と仕事を変える小さな習慣250」は、5万部のベストセラーとなった。今回取り上げる本書は、新書向けにこれを再構成し、全面的に改稿したものだ。
改稿にあたり、ライフハックの背景となる考え方を、その原理・原則に踏み込んで解説しているのが特徴だ。
ライフハックは単なる小手先のテクニックではない。今回、ライフハック113個を厳選し、とくに重要なものは「コア・ハック」として紹介しているので、つまみ食いするだけでも参考になるだろう。
アメリカ発の「ライフハック」を、堀さんは自分なりに咀嚼して、「ライフハックとは、人生に長い目でみて変化をもたらすような、小さな行動」など、いくつかの原則を示している。ちなみに、スキルアップの手法でも、自己啓発でもない、とのこと。
そして、人生を変える行動を起こすために、どのように時間を作るのか、どのようにタスクを整理するのか、どのように情報を選択してアウトプットするのか......9つの章で掘り下げている。
序章では、自分の目標を立てる方法を解説している。
その時、活用したいのが、自分の心に向かって質問を繰り返し、網羅的に心配事や希望を書き出す「ブレインダンプ」という手法。人生の見取り図を作成する「マインドマップ」という手法など。これらを参考にして目標を立てる。また、どのような目標に向かって進むのかを書き出した「ミッションステートメント」をつくる。これをいつでも持ち歩くのがポイントだ。
このあと、具体的に9章にわけて「時間を生み出すライフハック」「行動に結ぶつくタスク管理」「集中力と先送り防止」「ツールと人生の仕組み化」「読書と情報整理」「学びとアウトプット」「仕事と生活の環境構築」「心を守るためのメンタルハック」「人生をハックする習慣術」と解説している。評者が参考になりそうだ、と思ったいくつかのハックを紹介しよう。