金融に国境なし! 各国の投資商品を比較してわかったこと【小田切尚登のマネーの寅年】〈前編〉

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日本株は「負け組」だった

   主要な投資商品の中で、2021年のリターンでトップだったのがビットコインだった。円ベースで8割以上アップした。この一年間は、ビットコインの価格にかなり激しい上下があったが、もともとそういう金融商品なので受け入れるしかない。このところ米国の有名投資家がこぞって「株や債券などが全滅の場合に備えて」仮想通貨を購入するようになっている。2022年には仮想通貨のマーケットについて、違った風景が見えてくるのではないか。

   そして、2021年に強さが目立ったのは、米国の不動産と株式だ。米国株はドルベースで28.7%、円ベースでは年4割を超えるリターンを記録した。従来から私は米国株を推してきたが、さすがにちょっとデキすぎのようにも思える。史上最高値をどんどん更新し、未知の領域ともいえるレベルに到達した。

   ※米国の最近の状況については、〈後編〉で詳しく解説する。

   日本株は何とかプラスになったので格好はついた。しかし、ドル建てでみた場合の伸びは1.2%に過ぎない。フランス株が22%、英国株が18%上がったのに比べると、先進国の株式市場としては最低レベルである。

   世界の投資家からすれば「日本株は負け組」とされる。日本には個別に優れた企業はいろいろとあるが、他に魅力的な投資先がいろいろある中で、世界の投資家があえて日本株に大きく投資をしようとするインセンティブは低いと言わざるを得ない。

   世界の主要マーケットのなかで一番厳しかったのは中国だ。国家主席の習近平氏による締め付けが厳しくなる中でハイテク株が大幅に下がり、株価は2割以上も下落した。これは主に中国の国内政治の問題によるものである。中国の不振がアメリカ経済の一人勝ちをさらに際立たせることになった。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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