2021年の金融マーケットのデータが集まってきた。そこで、きょうはその動向を振り返ってみたい。
金融には基本的に国境がないので、各国の投資商品を並べて考察していこうと思う。読者のみなさんにも、そういうグローバルな思考法に、ぜひ慣れていただきたい。
元気のない「円」にこだわる意味がない
まず、金融商品ごとに一年間にどれだけ増えたかを見ていこう。
我々にとって、2021年の最大の事件の一つは、円安になったということだ。年初に1ドル=104円ほどだったのが、年末には1ドル=115円になった。対ドルで約10%円安になったわけだ。これは「日本の経済力が世界の中で相対的に1割下落した」と言っても良い。
昨年、世界の投資家の間でネガティブな話題として良く議論されたのは、新興国の株価が下がったことと、米国の長期債が下がったことである。新興国の経済は、コロナ禍で先進国の経済が混乱した煽りを受けて、それが増幅した形でやられてしまった。
また、米国の長期債は金利の上昇で下がってしまった。
しかし、日本の我々からすると、円建てでみれば海外の主な金融商品への投資はほぼすべてプラスのリターンとなった。言い方を変えると、今のように日本経済の状態が芳しくないときには、日本円だけに投資していたら得られるものは非常に少ないということだ。
日本で銀行預金をしている人は、金利が実質ゼロなので、円安になった分、資産価値が減るだけだ。しかし海外の資産を保有していれば、日本国内にいながら円安についてのリスクをヘッジすることができる。
投資は国境を越えて自由に行える。世界の通貨の中のマイナーで、かつ元気のない存在である円にこだわる意味はない。