せっかく「増収増益」が見込めるのに......
三菱電機の足元の業績は堅調だ。半導体やスマートフォン関連の設備投資が世界的に一段と活発化していることを受け、工作機械などの需要が高まっていることから、2022年3月期の連結業績予想は売上高が前年比7.4%増の4兆5000億円、純利益が同13.9%増の2200円と、増収増益を見込む。
だが、ブランドイメージは傷つき、製品への信頼が失われていけば、いずれ業績への影響はジワジワ効いてくる恐れがある。三菱電機は22年1月1日付でグループのリスク管理を統括する社長直轄の組織「リスクマネジメント統括室」を新設し、事業部門を横断する形でリスク対応できるようにした。また、経営の監視機能の強化に向け、6月の株主総会で、取締役会の過半数を社外取締役にする方針だが、同様の体制でも、東芝などで不祥事が起きており、これで万全とはいかない。
当面、4月までの調査の結果を待つことになるが、新たな不正発覚もあり得る。経営再建の道のりが容易ではないことは間違いない。
(ジャーナリスト 済田経夫)