オミクロン株大爆発より怖い日本経済のリスク... エコノミストが指摘する国民性とFRBタカ派姿勢

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ワクチン・検査パッケージとGo To トラベルは頓挫か?

   欧米では、オミクロン株の感染が急拡大をしても経済活動を規制するところは少ない。

   報道によると、1日の新規感染者が100万人を超えた米国、30万人規模のフランス、20万人を超えたイギリスでは、とくに外出制限や飲食店などの営業短縮などの措置は行われていない。

   ただ、約6万人のドイツではクラブやディスコの営業を禁止、約14万人のイタリアでも飲食店や映画館の利用者をワクチン接種者に限る、などの措置を行っているくらいだ。

行動制限に慎重な欧米と比べ、素早くまん延防止等重点措置を発令した岸田文雄首相
行動制限に慎重な欧米と比べ、素早くまん延防止等重点措置を発令した岸田文雄首相

   だが、日本ではどうか。早くも岸田文雄政権は1月7日に沖縄、山口、広島の3県にまん延防止等重点措置を発令することを決めた。適用されると、知事は飲食店の営業時間を午後8時までにしたり、酒類の提供の自粛を要請したりすることができる。

   東京、大阪などでも感染は急拡大しており、いずれ、首都圏や近畿圏にまん延防止等重点措置、あるいは緊急事態宣言が発令される事態になる可能性がある。自粛が再び広がれば、経済活動の停滞は避けられない。

   しかも、早くも経済活動再開の決め手が、次々と頓挫しつつある。感染拡大時でも行動制限を緩和する決め手の1つだった「ワクチン・検査パッケージ制度」にも赤信号が灯り始めた。

   「ワクチン・検査パッケージ制度」とは、感染対策と社会経済活動の両立を図る手段として、昨年(2021年)11月に策定された。緊急事態宣言やまん延防止等措置が発令されているなかでも、「ワクチン接種証明」や「検査結果の陰性確認」があれば、「飲食」「イベント」「移動」の行動制限が緩和される仕組みだ。

気持ちよく飲める日が来るのだろうか(写真はイメージ)
気持ちよく飲める日が来るのだろうか(写真はイメージ)

   これについて、全国知事会のオンライン会合(1月6日)では、もともとデルタ株を想定してつくられた制度であり、感染力がより強力なオミクロン株の登場によって意味がなくなったと、知事たちの反発が相次いだ。

   日本経済新聞(1月7日付)「対オミクロン抜本策必須 制限緩和の前提崩れ」によると、会合の中で、黒岩祐治神奈川県知事は「パッケージ制度はオミクロン株の特性を踏まえ、自治体の判断ではなく国が制度の見直しを行うべきだ」と述べ、湯崎英彦広島県知事もパッケージについて「ほとんど意味をなさない」と話したという。

「Go To トラベル再開」の目途も立たなくなった(国土交通省公式サイトより)
「Go To トラベル再開」の目途も立たなくなった(国土交通省公式サイトより)

   もう1つ、観光産業支援の目玉として期待が高まっていた「Go To トラベル」の再開も見送られることになった。1月7日、斉藤鉄夫国土交通相が記者会見で明らかにした。斉藤氏は、

「感染拡大が急速に進むことが想定される状況にある。トラベル事業の再開は感染状況が落ち着いていることが大前提だ」

と述べたのだった。

   国土交通省は1月末からの再開を目指し、準備を進めていたが白紙に戻ったかたちだ。

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