新年早々、「おとそ気分」を吹き飛ばすようなニュースが飛び込んできました! 世界中で新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がるなか、インフルエンザとの「ダブル感染」が相次いで報告されているのです。
先日、中東のイスラエルで最初の症例が報告されたばかりですが、ブラジルやハンガリー、そしてとうとう米国でも感染の確認が報じられました。さらには、フランスで新しい新型コロナウイルスの変異株が発見されたとのニュースまで......。
オミクロン株の上陸による「第6波」到来におびえている日本ですが、果たして、「ダブル感染」に立ち向かうことはできるのでしょうか?
「インフルエンザ」と「コロナ」が合体して「フルロナ」!
米国は100万人超えで英国は20万人超え......。連日のように記録を更新している新型コロナウイルスの新規感染者数。あまりにも天文学的な数字に感覚がマヒしてしまいそうですが、悲しいことに「ウイルス」の世界はさらに先を行っているようです。
ここにきて、インフルエンザと新型コロナウイルスに「ダブル感染」する症例が各国で確認されるようになりました。
Testing site reports first case of 'flurona' in LA
(ロサンゼルスの検査場で、米国初の「フルロナ」症例が報告された:米メディア)
現地の報道によると、メキシコの休暇から帰国した家族のうち、10代の子どもがインフルエンザと新型コロナウイルスに同時に感染していることが確認されたそうです。
ちなみに、「ダブル感染」を表す「flurona」(フルロナ)は、「インフルエンザ」の「flu」と新型コロナウイルスの「corona」を合成した単語ですが、一気に世界の注目ワードに躍り出たようで、各国メディアが「What is 'flurona'?」(フルロナって何?)と、あわてて特集を組んでいます。
さて、この「フルロナ」ですが、まだ発見されたばかりということもあり、今のところ重症例は報告されていませんが、専門家は「フルロナの症例は今後、世界中で増えるだろう」と警告しています。
各国がロックダウンなどの行動制限を課していた頃と異なり、人々が外出したり集まったりする機会が増えているところに「驚異的な感染力」を持つオミクロン株が出現したことから、「フルロナが増える環境が整っている」とのこと。
新型コロナウイルスの感染防止策として、人々が手洗いやマスク着用に取り組んだ結果、幸いなことにインフルエンザの流行は押さえられていました。ところが、最近はワクチンや治療法の発達で、各国政府は「コロナとの共存」を唱えて行動制限を回避する傾向にあります。
「フルロナ」について、米国の専門家は「It's not overly concerning」(過度に心配することはない)とアドバイスしていますが、そのことばを信じてよいものでしょうか......。しばらくは、「フルロナ」に関するニュースをウオッチしていきたいと思います。
えっ、フランスで新たな「変異株」が発見!?
日本でもオミクロン株の市中感染が確認されて、ジワジワと新規感染者数が増えてきています。第6波の到来におびえるなか、フランスでは、なんと、新しい変異株が発見されたと現地メディアが伝えています。
New coronavirus variant ' IHU' identified in France
(新しいコロナ変異株のIHUがフランスで確認された)
variant:変異株
identify:確認する
新しい変異株「IHU株」は、南仏の都市・マルセイユで確認されたそうです。最初の感染例はアフリカのカメルーン旅行から帰国した人で、その後、同地区で数例が相次いで確認されたとのこと。
新しい変異株は、研究所の名前を取って「IHU株」と暫定的に名付けられていますが、「オミクロン株よりも感染力が強い」という、驚きの報道もあります。まだその正体がわからない「IHU株」ですが、最初の症例が確認されてからあっという間に世界中に広がったオミクロン株よりも感染力が強いとは......。
ウイルスとの戦いはどこまで続くのか、新年早々、気が遠くなりそうです。
それでは、「今週のニュースな英語」は、米専門家のことば「「It's not overly concerning」(過度に心配することはない)から、「overly」を取り上げます。
Your sales forecasts are overly optimistic
(あなたの営業予測は楽観的すぎます)
Do not feel overly nervous
(過度に緊張しないで下さい)
I'm not overly surprised
(私はあまり驚きません)
デルタに続いてオミクロン、そしてフルロナと、次から次へと出現する「脅威」を前に、マスクや手洗い、そして「自宅静養」といった「前近代的手法」で立ち向かうことはできるのでしょうか? 「overly optimistic」(楽観すぎる)な判断は、避けてもらいたいものです。(井津川倫子)