カインズが東急ハンズを買収 活発なM&Aに見るホームセンター業界の苦境と課題

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

店舗はすでに飽和状態? どう生き残る......

   しかし、ホームセンター業界に楽観論はない。「そもそもホームセンターは、日用品でドラッグストアやディスカウントストアと、インテリア用品でイケアなどの専門の小売業と競合するなど、異業界が絡んだ競争が熾烈だ。当然、インターネット通販との戦いにも対応しなければならない」(流通関係者)といい、経営環境は非常に厳しいからだ。

   その一方で、ホームセンター各社が新規出店を加速してきた結果、「市場はすでに飽和状態にある」とも言われている。日本DIY・ホームセンター協会によれば、2020年度の店舗数は4860店で、10年度(4180店舗)比で約2割増、00年度(3730店舗)比で約3割増に膨らんでいる。

   異業種の攻勢に加え、同業同士の戦いも年々激しくなっており、生き残りのための対応が避けられなくなっている。

   中長期的に人口減少による消費の先細りが不安材料なのは他業界と同様で、コロナ禍の下での一過性の好調さに甘んじるどころではない。「むしろ今こそ、将来に向けた戦略や投資が必要だという考えが強まっている」(同)とされる。

   地域の郊外型店舗というイメージが強いカインズが、洗練されたブランドとして定着している東急ハンズに狙いを定めたのも、将来を見込んでのことだ。カインズは東急ハンズの名称を将来は使わないという可能性も示しており、どのような戦略で買収の成果を発揮するのか、業界では注目の的だ。

   カインズに続き、相手・規模など多彩なM&Aが引き続き行われる可能性は高く、ホームセンター業界には期待や不安が渦巻いている。(ジャーナリスト 済田経夫)

姉妹サイト