「女が単身赴任をするとは!」は現代では通用せず
――夫の主張に擁護すべき点はありますか。
川上さん「もし投稿者さんが海外赴任した場合、ビザや会社の規定の関係で、夫は働くことが難しいのであれば、夫は『専業主夫』にならざるを得なくなります。ですので、『主夫はしたくない』と夫が渋る気持ちになるのも致し方ない気がします。
また、『今の生活は維持したい』という希望は夫の身勝手のようにも思えますが、妻が今まで通り国内勤務を続ければ、それが可能であることを踏まえると、夫の意思にも耳を傾ける必要はあるように思います。
もっとも、相手の言い分が身勝手に思える内容だったとしても、それが本当に身勝手かどうかも含めて話し合い、どちらかが希望をあきらめたり、犠牲になったりする状況をできる限り避けたほうがよいはずです。
また、妻の収入のほうが夫より多いとしても、家庭運営では本来、夫婦の収入は家族の収入です。投稿者さんは夫婦で財布を分けているようですが、夫婦の収入の考え方について、夫の間で改めてすり合わせておかれたほうがよいと感じます」
――回答者の中には、海外赴任経験者がいて、「夫がついてきてくれた」「ほかの国では主夫は珍しくない」という意見も多かったです。
川上さん「参考にはなるかもしれませんが、やっぱり投稿者さんご夫婦がお互いに知恵を出しあうなかで納得できるかどうかがすべてです。
夫は人生を共にする伴侶ですから、夫が理解してくれるに越したことはないと思います。しかし、どうしても理解が得られないとしたら、反対を押し切ってでも実行する選択肢も視野に入れざるを得ないでしょう。『女が単身赴任するとは!』という考え方は、ひと昔前の女性には一定の拘束力があったかもしれませんが、現代ではまったく通用しません」