香港投資ファンドの衝撃の報告書
海賊版サイトは2018年4月の「漫画村」閉鎖後も次々に現れ、いたちごっこの状況にあるが、インフォコムの電子漫画事業は18年3月期(212億円)から3年後の21年3月期に440億円へ2倍超の成長を記録。この間の19年3月期に「ITサービス」を追い越した。踊り場感のある22年3月期においても450億円を見込む。
高品質の日本の漫画は海外でも需要があるとみられており、今後本格的に海外進出が進めば、収益力が高まるのは確実だ。
こうした中で5.65%の株式保有を公表した、「物言う株主」として知られるオアシス・マネジメントの報告書は市場に衝撃を与えるのに十分だった。何しろ帝人以外に5%超の大口株主はいない状態だった。
報告書に記した保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」で、「重要提案行為等」については「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」としている。
ということは今後、インフォコムに増配や自社株買いといった株主還元策の強化を求めることは十分考えられるというのが市場の受け止めだ。また、帝人との親子関係に踏み込んだ提案をしてくる可能性もある。
インフォコムの株価は年初から下落傾向にあり、やや割安感も出ていただけに、飛びついた投資家も多かったようで、12月29日の株価は当日安値が前日高値を60円も上回り、大きく「窓をあける」チャート図を描く節目の展開。年明け2022年1月4日の大発会も2200円を挟んで推移し、堅調だった。(ジャーナリスト 済田経夫)