今こそ投資家の眼力で日本企業を応援しよう?
一方、これから株価は多少上昇するものの、日本株全体として世界的に評価が低いから、日本株を選ぶときはよくよく研究することが大切だ、とは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
「2022年日本株見通し」(12月24日)のなかで、こう述べている。
「2022年の日本株は企業業績の拡大を背景に上昇基調は持続すると考えられますが、株価の上昇ペースは米国株などと比べ見劣りする可能性が高いと想定しています。日本株市場で最大の投資主体である海外投資家が、収益力の低い日本株投資に積極的ではないことが主因です」
「日本株に長期マネーが流入するためには、日本企業の収益力向上が不可欠とみており、そうした動きがみえてくるまでは『変わらない日本株は買われない』といった展開が続くと想定されます」
要するに、日本株は上がるにしろ、小幅だ、というわけだ。その理由として石黒氏は、ROE(自己資本利益率、稼ぐ力)と、PBR(株価純資産倍率、株価の評価)という株価を評価する指標に注目した。
図表3は、各国の主要株価指数のROEとPBRを比較したグラフだ。これを見ると、日本は左下にあり、もっとも評価が低いことがわかる。石黒氏は、こう指摘する。
「各国の主要株価指数のROE(自己資本利益率、稼ぐ力)とPBR(株価純資産倍率、株価の評価)の関係をみると、日本株はROEが主要国の中で最も低く、だからこそPBRも低いという結果となっています。つまり、ROE(稼ぐ力)が向上すれば日本株への評価も自ずと変わってくると考えられます。
幸いなことに日本企業が保有する現預金は約321兆円(2021年9月末速報値、日銀資金循環統計)と高水準に積み上がっており、こうした余剰資金を有効活用できれば、日本企業が変化する余地は大きいといえます」
日本企業も「稼ぐ力」の向上に努めるのはもちろんだが、投資する側も努力している企業を徹底的に研究し、後押しすることが大事なようだ。
(福田和郎)