【新春企画】タイゾーさん! どんな株買ってます? 「日本株」のポテンシャルはどうですか??【その3】

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   株式投資って、なんとなく怖い――。リスクがあると聞くし、シロウトは近寄らないほうが身のため――。気にはなるけれど、自分には難しい世界なんだろう――。

   そんな未経験者にとって、不安ばかりの株式投資の世界について、元衆議院議員でコメンテーターとしても活躍する杉村太蔵さん(タイゾーさん)に、株式投資のあれこれをうかがうインタビューシリーズ。

   第3回は、タイゾーさん自身の資産運用について、そして、インタビューの締めくくりに国内企業へのエールを聞いた。

「毎年のお正月、遺言を書いています」

――前回は、モラルある投資家の存在は、世界を変える力の源だ、という深いお話で終わりました。3回シリーズの最後となる今回は、少し趣向を変えて、タイゾーさんの資産運用について教えてください。

杉村太蔵さん「短期、中長期、超長期で株式を持って、資産形成しています。短期で売買するものは、勉強の意味合いが強く、注目の会社(銘柄)を買うことが多いですね。中長期は4~5年かけて見守っていく会社(銘柄)。ずっと持ち続けるわけではないなと思いつつも、期待していて、ここから長期保有に移行する場合もあります。そして、ずっと持ち続ける超長期の会社(銘柄)があります。ほかには、不動産とか外貨が少し。
その話と関連して、ボクは毎年のお正月、妻に宛てて遺言を書いていますよ」

――えっ? どういうことですか?

杉村さん「ボクに万が一のことがあった場合に備えてです。夫婦間でも、個人の銀行口座や暗証番号を意外と知らせていないことがあって、きちんと共有しておくことは大事です。遺言には、緊急時の関係者への連絡先、自分の金融資産とその売却について指示しています。
このうち、株式の売却については、(1)自分の死後、ただちに売って現金化するもの。(2)自分の死後、4~5年以内で現金が必要になったタイミングで売ってよいもの。(3)自分の死後も、杉村家が存続する限り、絶対売ってはいけないもの。これは未来永劫、持ち続けなさい、ということですね。――おおまかにいって、こんな内容になっています」

――未来永劫、売る気のない銘柄......気になりますね。

杉村さん「少しだけ、教えましょうか?」

――お願いします!

杉村さん「日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命――郵政グループ3社の株です。なぜかって? ボクは郵政民営化法案(および、その関連法案)に賛成した人間だからですよ。これね、株式公開されて、上場したその日に買いました。あのとき、議場で賛成票を投じた人で、上場したその日に買ったのはボクぐらいだろうなと思っているんですけど。どうだろう(笑)。ボクとしては、賛成したわけだから、政治的責任を果たす意味で、あの株だけはずーーーーーーーっと持ち続けろ、と言っています。私の原点ですし。ただ、いまパフォーマンスは悪いんですけどね(苦笑)。まあ、ボクの話はこれくらいにしておきましょう」

「いまこそ日本の力をもっと信じてほしい!」

――それでは、一連のインタビューの締めくくりに入りたいと思います。最後におうかがいしたいのは、このところ、投資家は日本株ではなく海外株に目が向いている、という話が出ています。タイゾーさんはどう思われますか?

杉村さん「その前置きとして、超長期で持ちたい会社(銘柄)にも通じることですけれど、投資をするうえでいい会社というのは、そう簡単に真似できないビジネスモデルを持ち、たやすく新規参入できない事業を持つこと。また、一定のマーケットのシェアも確保していて、市場の環境変化にもきっちり対応できる企業だと思います。
......ということを、証券会社勤務時代、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授の『競争戦略論I II』(ダイヤモンド社刊)を読んで学びました。これは、ボクにとっての株式投資のバイブル本です。株式投資を始めるなら、ぜひ読んでもらいたいオススメの本です」
オススメ本のマイケル・ポーター教授『競争戦略論I』を手に、日本の未来を熱く語るタイゾーさん
オススメ本のマイケル・ポーター教授『競争戦略論I』を手に、日本の未来を熱く語るタイゾーさん

――でも、そういう会社は、なかなかないでしょう。

杉村さん「これに当てはまる一例が、タイヤメーカーのブリヂストンではないでしょうか。タイヤというのは、当然ながら事故を起こしてはいけませんので、高い技術が求められます。
しかも、です。この先、電気自動車が普及したら、電機メーカーや電子部品メーカーなども、この分野へ参入できるだろうと考えられます。また、新興の電気自動車メーカーも出始めてきました。そして、周知のとおり、グーグルやアップルなどのIT企業も、自動運転技術を盛り込んだ自動車の開発をめざしています。
でもね、自動車本体はつくれても、優れたタイヤはそう簡単につくれないし、かつ、絶対に必要なパーツでもあります」

――たしかに、そうですね。

杉村さん「タイヤのような、モノづくりに絶対に欠かせないパーツを、日本の企業が握っているケースはけっこう多いんです。たとえば、ボーイングの飛行機。少なくない数の部品が日本製だと聞きます。iPhoneもそうでしょう。日本の優れた部品メーカーのパーツが使われていますよね。
そう考えると、高度経済成長期は、『メイド・イン・ジャパン(日本でつくられた)』の革新的な製品に魅力によって、世界を驚かせました。その後は、海外拠点で製造する『メイド・バイ・ジャパン(日本によってつくられた=日本企業の海外生産品)』でも、日本らしい質の高さが評価されました。
そして、これからは『メイド・ウィズ・ジャパン』――日本と一緒につくることが大事になってくる。そのとき、パートナーとして選ばれる企業であることも必要ではないか、と思います。2022年およびその先も、そういう国内企業には注目したいですね」

――国内企業に頑張ってほしい、と。

杉村さん「そう、そうなんです。なのでボクは、いまこそ日本の力をもっと信じてほしい! そして日本の将来を信じて、日本株を買ってほしい。応援してほしい。いま、日本人自身が、日本の将来に対して、疑心暗鬼になっているところがあります。でも、それは知識がなくて、知らないだけかもしれません。調べれば、日本って、こんなに可能性のある企業がたくさんあるんだ! と気づくことが多いと思いますよ。そういうことを知るきっかけとしてもぜひ、新しい年を迎えて気持ちも新しくなったところで、株式投資やそのための勉強を始めてもいいかもしれませんね」

――ありがとうございました。

プロフィール
杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)
1998年4月筑波大学に入学、2004年3月中退。派遣社員を経て、外資系証券会社に勤務。2005年9月、自民党公認候補として衆議院議員選挙に立候補して当選、政治家として活動した。
現在はタレント、コメンテーターとして情報番組などに出演するほか、実業家・投資家としても活躍中。2020年3月、ベーシックインカムについて研究していた慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程を単位取得満期退学。近著に『「投資」「副業」お金の基本がゼロからわかる 稼ぎ方革命』(KADOKAWA刊)。https://www.sugimurataizo.com/
1979年、北海道旭川市生まれ。

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