ビジネスにもつながる忍耐力と判断力
さらに、大村さんはこう続けます。
「ざっくり言えば『敵が強いときには決して争わず平伏し続け、敵が弱ったときに一気に叩く』のである。敵が強いときにこれを倒そうとすると、多大な費用・労力がかかる。だから、家康は極力そういうことはしなかった。それが、ほかの名だたる戦国武将と大きく違うところである」
なるほど......。家康の忍耐力と判断力は、幼少期からの過酷な体験が培ったものだと言われています。家康は、物心つかないときから母親と生き別れし、人質として他国に送られました。周辺勢力のパワーゲームに翻弄され、親戚に売られるということも経験しています。そういう過酷な少年時代の中で、人間観察、状況判断の能力を磨いてきたのでしょう。
これはビジネスパーソンにとって大いに参考になる示唆です。現在、理不尽な処遇に怒りを覚えている人はいませんか。不遇をかこっている人もたくさんいるいるでしょう。しかし、誰にでもチャンスは巡ってきます。
そのチャンスが来るまで、地道に自分を磨いておく、状況分析も欠かさずにおこなっておく。そして、チャンスが来たときに果敢に行動していくことが必要なのです。新年度を迎えるにあたり読んでおきたい一冊です。
(尾藤克之)