【新春企画】 教えてタイゾーさん!! どんな会社に「株式投資」すればいいですか?【その2】

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   株式投資って、なんとなく怖い――。リスクがあると聞くし、シロウトは近寄らないほうが身のため――。気にはなるけれど、自分には難しい世界なんだろう――。

   そんな未経験者にとって、不安ばかりの株式投資の世界について、元衆議院議員でコメンテーターとしても活躍する杉村太蔵さん(タイゾーさん)に、株式投資のあれこれをうかがうインタビューシリーズ。

   第2回は、未経験・初心者が知ってほしい株式投資との向き合い方を聞いた。

「長期保有にはメリットがあります」

――前回、株式投資をするには、企業の「応援団」として、自分の好きな会社(銘柄)を買うべき、というお話でした。でも、やっぱり「儲かる」「儲からない」は気になります。

杉村太蔵さん「では、ちょっと角度を変えて、話しましょう。じつは簡単にできるお金の増やし方がありますよ」

――なんですか?

杉村さん「簡単です、節約すればいいんです」

――えっ、それではこのインタビューが終わっちゃいますよ(笑)。

杉村さん「まあ、聞いてください。若い人―― そうですね、学生~30代前半くらいの方を想定すると、彼らにどのくらいの投資資金を用意できるでしょうか。仮に100万円、とします。
この元金を使って運用したら、1年後にどれくらいになるか――。ボクはギャンブル的な投資は推奨しないので、常識的な株式投資をしたとします(それでも、リスクがないわけではありません)。すると、慣れているボクでも、1年間の利回りはよくて8%かな......、いや5~6%でたら御の字です」

――個人の資産運用で、現実的な目標利回りは4~5%あたりと言われますね。

杉村さん「そうですね。ここでは話を単純にするために、仮に1年間の利回りが5%だったとします。すると1年後には、元金100万円が105万円になる。けれども、税金などを差し引いて、実質的に手に入るのは4万円くらい。
で、それを12か月で割ると、1か月3333円の儲けですよ。いいですか、100万円投資して、実質的な利回りは4%なわけです(いま、普通預金の金利が0.001%だから、それよりはよいとしても)。なので、100万円投資しても、せいぜい1か月3333円の利益だったら、ムダなお金を使わないほうがお金は貯まる、という考え方もできるわけです」

――それなのに、タイゾーさんが株式投資をオススメする理由とは?

杉村さん「ひとつは、株式の売買のためにするさまざまな勉強によって、そこで学んだ知識が、利益となる額面以上に、あなたの人生を豊かにするからです! お金を通じて、社会ともっと深くかかわることで、自分らしく生きてほしい。それがひいては、充実した人生、ワクワクする生き方につながる、とボクは思っています。
一方で、もうひとつ現実的には、短期で考えるのではなく、長期保有にはメリットがあるからです。買った株を長く持ち続けて、複利(=元金に生じた利子を次期の元金に組み入れる方式。要するに、利子にもまた利子が付くこと)で運用するのです。
たとえば、元金100万円を1年間の利回り3%でまわすと、1年後には103万円になる。そして、そのまま持ち続けると、2年後には106万円ちょっとになる。3年後、4年後、5年後......と増えていく」

――長期での資産形成を考えるわけですね。

杉村さん「そういうことです。ちなみに、複利の考え方を活用して、お金が2倍になる期間が簡単にわかる計算式『72の法則』というものがあります。72で1年間の利回りを割るんです。
たとえば『72÷利回り3%』であれば、複利運用なら24年後には2倍になる、ということ。もう少し頑張って、『72÷利回り4%』でまわせたら、複利運用なら18年後には2倍になる(元本が一定だという前提です)。
18年間で株価が上がったり下がったりしますが、その間で相場がいいときに売却できたらいい、と考えておく。ボクもずーっと複利運用で、何年も持ち続けているものがあります。
で、複利運用をしたいので、長く持ち続けられる優良企業がいい。それは、前回お話しした『自分が入社したい会社に投資する』という考えにもつながってくるんです。じつは、これにはもう少し深い理由があるので、少し詳しくお話ししましょう」

「『金融は、人の命を救う』と教わりました」

杉村さんボクが投資哲学として大事にしているのが、SRI(Socially Responsible Investment)という考え方です。日本語では『社会的責任投資』と呼ばれています。これは、企業の売り上げ、利益、財務的な指標だけではなく、企業が負うべき社会的責任を果たしているか―― これも投資への判断基準とする考え方です。
たとえば、コンプライアンスを守っているか。社員を大事にしているか。環境に配慮して事業活動をしているか。このような観点です。
仮に、海外で安い不当な労働者を雇うことで利益を上げていては、その会社が持続的に発展していくとは思えませんね。さきほど触れたように、株式投資では長きにわたって持続していく会社(銘柄)を選びたいたいので、SRIの観点が大事だ、というわけです」

――ということは、会社のトップの考え方も大事なのでしょうか。

杉村さん「そうです、そうです。証券アナリスト時代の先輩たちから教わった話があります。彼らは仕事の一環で社長へのヒアリングを行ないますが、いい会社かどうか見極めるには、トップである社長の話しぶりに注目するそうです。
ヒアリングの中で、社長が(1)会社のことをよく理解しているか(2)情熱があるか(3)何をやりたいか明確か(4)そして、その『やりたいこと』が世の中にとって、よい影響を与えるかどうか――。代表者である社長との対話を通じて、会社の成長性や持続性を見抜いていくわけです。
なかには、サラリーマン社長もいますよね。なんとなく、キャリアの最後だから社長業に就いているような人ではダメで。やっぱり、自社の全貌を自分できちんと理解し、難しい経営判断も決断できる。そして、果敢にチャレンジできる人であってほしい。
そういうリーダーのもとでこそ、世の中をいい方向へ導くソリューションが生まれるのだろうし、長期間にわたって収益を上げる、持続的に成長する企業として存在感を発揮していくのだと思います。そして、そういう会社を応援すべきではないでしょうか。ボクは、投資によって『世の中が変わる』と信じています

――どういうことでしょうか?

杉村さん「たとえば、いま、脱炭素の取り組みが進むなど、エネルギー問題は喫緊の課題ですよね。そこで、たとえばある会社が、石油・石炭に代わる、再生可能エネルギーとして、地熱発電に着目した、とします。そのためには、地中を深く掘らなくてはいけなくて、莫大な費用がかかる。しかし、この会社には技術力があり、そのコストを下げる革新的なソリューションや製品をつくれそうだ。これが実現できると、環境問題に大きく貢献できるだろう。でも、そのための開発費用がいま必要だ、と。投資家は、そういう志や思いに対して、投資をすることが正しいあり方だと思います」

――そういう事例はありますか?

杉村さん「たとえば、アメリカの電気自動車メーカーの『テスラ』。およそ20年前、世界中の自動車からガソリン車でなく、電気で走るクルマをつくりたい――。その夢を掲げてスタートした会社です。テスラになぜお金が集まるのかといえば、こういう世の中にしたい、地球環境をこういうふうに改善したい―― その理念に、みんなが共鳴するからだと思います」

――それだけに、会社の掲げる理念、トップの信念、それを支える投資家の存在が必要だ、と。

杉村さん「まさにそうだと思います。大きな視点からの話をしますと、いま、人類の経済活動によって、環境破壊が引き起こされたとして『資本主義』がずいぶん批判されていますよね。
これに対して、いまボクが話してきたような、資本主義の力で地球環境の改善をしていく、という考えを持つ人も出てきてきました。だから、資本主義の暴走に歯止めをかけるのは、モラルある投資家だ、とボクは思います。そういう視点を持つ投資家が増えることで、資本の力を通じて実現していく技術革新によって、地球環境を改善できるのではないかと思います。
証券会社勤務時代、ボクは『金融は、人の命を救う』と教わりました。すごくいい言葉だと思います。たしかにそうなんです。新型コロナウイルスのワクチンも、資本主義だったから、あれだけスピーディに開発できた側面があるのではないでしょうか」

――ありがとうございます。今回は、株式投資の話から、いま話題の「資本主義」の考察まで、中身の濃い話をしていただきました。
ところで、タイゾーさん自身は、どんな株式をお持ちなのか? なんでも、お正月には、奥様にあてた「遺言」を書くとか......。次回は、ちょっと立ち入った話題も聞いてみました!

※ 「その3」は2022年1月3日付の公開になります。

プロフィール
杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)
1998年4月筑波大学に入学、2004年3月中退。派遣社員を経て、外資系証券会社に勤務。2005年9月、自民党公認候補として衆議院議員選挙に立候補して当選、政治家として活動した。
現在はタレント、コメンテーターとして情報番組などに出演するほか、実業家・投資家としても活躍中。2020年3月、ベーシックインカムについて研究していた慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程を単位取得満期退学。近著に『「投資」「副業」お金の基本がゼロからわかる 稼ぎ方革命』(KADOKAWA刊)。https://www.sugimurataizo.com/
1979年、北海道旭川市生まれ。

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