寅年は「千里を走る」右肩上がり!? 勢いに乗って株価は「跳ねる」卯年へまっしぐら(石井治彦)

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   日本の株式市場には、「十二支」にまつわる相場格言がある。2022年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。寅年の相場には「千里を走る」という格言がある。なんとも、縁起がよさそうである。

   おまけに、だいぶ気が早いが2023年の卯年は「跳ねる」というから、株価は右肩上がりに上昇しそうで、勢いがある。ちなみに、辰年(2024年)、巳年(2025年)の「天井」めがけ、いいイメージしかない。

   仕込むべき銘柄があるやなしや......。

  • 寅年の株式相場には「千里を走る」のか?
    寅年の株式相場には「千里を走る」のか?
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丑年は「躓き」も日経平均株価は4.4%上昇

   2021年は、新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスに終わる1年だった。変異株の「デルタ株」による感染第5波が猛威を振るい、今度は「オミクロン株」が広がりつつある。夏以降はワクチン接種が急速に進み、治療薬の開発も相まって、年後半には感染拡大は沈静化に向かうとみられたものの、アフターコロナに向けて動き出した欧米各国は、冷や水を浴びせられることとなった。

   昨年の東京株式市場を振り返ると、日経平均株価は1月4日の始値2万7575円57銭でスタート。9月14日に、3万670円10銭の年初来高値を付けた後、年末30日の大納会は2万8791円71銭で終えることとなった。額にして1216円14銭、率にして4.4%の上昇に終わった。

   ちなみに、昨年の干支である丑年の相場格言は「躓き(つまずき)」。コロナ禍から抜け出せそうで抜け出せなかった世界経済と日本経済だが、日経平均株価を見れば、まさに「行って来い」の相場だった。

   2020年5月「キューピー」でスタートした「格言で買う株式投資」も1年半を経過。掲載17回、銘柄は22銘柄となった。このうち、21年は15銘柄で10勝5敗。上昇率は8.2%だった。

   「勝ち」銘柄には、コロナ禍でダメージを被り、対応のメドが立てば業績回復、株価上昇が見込まれる銘柄としてあげた日本航空(JAL)株がある。3月22日に2759円の年初来高値をつけた後、乱高下しながらオミクロン株の感染拡大の懸念から下落。金額にして2万7000円(1単元)の上昇で終えた。

   また、国内総生産(GDP)世界第2位の中国市場の景気回復の恩恵業種と考えた自動車関連の「住友電工」(ワイヤーハーネス)、「ヤマハ発動機」(2輪は欧州やインドの回復は想定以上)、「NOK」(オイルシール)をあげた。しかし半導体や部品の不足により、自動車メーカーは減産。昨年11月以降、3月まで増産体制で挽回を見込んでいる。

株価の懸念材料はテーパリングと米中摩擦

   2020年 12月11日に、14年5月以来約6年半ぶりの安値(1853円)をつけた大日本印刷は、21年11月15日に高値2954円をつけた後、2893円に落ち着いたが、「応用地質」と共に60%近い上昇となった。

   その一方で、「レノバ」は9月13日に6390円の年初来高値を付けたが、12月24日に秋田県沖の洋上風力発電事業の公募で選定を逃したことを受けて、株価は急落。記事に書いたように、様子見で正解だったのかもしれない。

   2022年はウイズコロナの進展に伴い、経済再開が進むとみられる。21年以前に保有した銘柄の継続保有を考えている。有望株を挙げれば、自動車関連や半導体関連は引き続き好調を持続できると読む。「トヨタ自動車」や「デンソー」、「ヤマハ発動機」、「住友電工」だ。

   世界的な半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に半導体工場を建設することになったが、2022年は半導体製造工場(米・台・日)の建設ラッシュが進むとみられる。「SUMCO」や「ルネサスエレクトロニクス」に、注目したい。

   脱炭素の急速な進展により、再生可能エネルギーと石炭・石油、天然ガスの化石燃料のあいだに、需給ギャップが発生。欧州連合(EU)や中国、インドをはじめ、各国で電力不足に対応するため、化石燃料の価格高騰を招く結果となっている。化石燃料の需要増を見据えて、「三井物産」などの商社株にも注目する。

   株価の懸念材料は、テーパリング(量的緩和政策の段階的縮小)の終了に伴う米国の利上げが他国に及ぼす影響だ。今年2月にも終了すると見られるテーパリング。早ければ3月から利上げの可能性もある。また、米中摩擦も今後の展開次第では、世界の株式市場に大きな影響を及ぼすと考えている。

   さて、「寅は千里を走る」の格言だが、その意味は躍進というよりも、政治・経済で波乱が起こりやすい相場と解釈されているそうだ。

   過去の寅年の出来事をみると、1950年に朝鮮動乱の勃発、1962年のキューバ危機、1974年にはウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任と金脈問題による田中角栄首相の辞職、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故。ロシア危機(1998年)やユーロ危機(2010年)も寅年だった。

   過去6回の寅年相場の戦績は、日経平均株価で1勝5敗の大幅負け越し。唯一の勝ち星は1986年、バブル相場の幕開けだった。「波乱が起きた」という意味では、まさに格言どおり。あまり浮かれている場合ではないようだ。(石井治彦)

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