株価の懸念材料はテーパリングと米中摩擦
2020年 12月11日に、14年5月以来約6年半ぶりの安値(1853円)をつけた大日本印刷は、21年11月15日に高値2954円をつけた後、2893円に落ち着いたが、「応用地質」と共に60%近い上昇となった。
その一方で、「レノバ」は9月13日に6390円の年初来高値を付けたが、12月24日に秋田県沖の洋上風力発電事業の公募で選定を逃したことを受けて、株価は急落。記事に書いたように、様子見で正解だったのかもしれない。
2022年はウイズコロナの進展に伴い、経済再開が進むとみられる。21年以前に保有した銘柄の継続保有を考えている。有望株を挙げれば、自動車関連や半導体関連は引き続き好調を持続できると読む。「トヨタ自動車」や「デンソー」、「ヤマハ発動機」、「住友電工」だ。
世界的な半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に半導体工場を建設することになったが、2022年は半導体製造工場(米・台・日)の建設ラッシュが進むとみられる。「SUMCO」や「ルネサスエレクトロニクス」に、注目したい。
脱炭素の急速な進展により、再生可能エネルギーと石炭・石油、天然ガスの化石燃料のあいだに、需給ギャップが発生。欧州連合(EU)や中国、インドをはじめ、各国で電力不足に対応するため、化石燃料の価格高騰を招く結果となっている。化石燃料の需要増を見据えて、「三井物産」などの商社株にも注目する。
株価の懸念材料は、テーパリング(量的緩和政策の段階的縮小)の終了に伴う米国の利上げが他国に及ぼす影響だ。今年2月にも終了すると見られるテーパリング。早ければ3月から利上げの可能性もある。また、米中摩擦も今後の展開次第では、世界の株式市場に大きな影響を及ぼすと考えている。
さて、「寅は千里を走る」の格言だが、その意味は躍進というよりも、政治・経済で波乱が起こりやすい相場と解釈されているそうだ。
過去の寅年の出来事をみると、1950年に朝鮮動乱の勃発、1962年のキューバ危機、1974年にはウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任と金脈問題による田中角栄首相の辞職、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故。ロシア危機(1998年)やユーロ危機(2010年)も寅年だった。
過去6回の寅年相場の戦績は、日経平均株価で1勝5敗の大幅負け越し。唯一の勝ち星は1986年、バブル相場の幕開けだった。「波乱が起きた」という意味では、まさに格言どおり。あまり浮かれている場合ではないようだ。(石井治彦)