「そう簡単に儲かるものではありません」
――なるほど。そういった下地があって、株式投資の世界に入っていったわけですね。ところで、株式投資をするうえでは、どんな会社(銘柄)を選んだほうがよいのでしょうか?
杉村さん「まずお話ししたいことがあります。投資家とは何者か――。これをわかってほしいんです!
ボクは、投資家とは、企業の応援団だと考えています。その会社が成長して、世の中がよりよくなる。そのために、自分の資産を投資する―― そういう考え方がいいと思っています。
というのも、株式投資は、短期間でただただ儲けようと思っても、そう簡単にはいきませんよ。株式市場では世界の名だたる大手金融グループ、証券会社、ヘッジファンド...... プロ中のプロがしのぎを削っているわけですから。
それと、短期間での売買を繰り返して利益を上げようとする人は、投機家と呼びます。彼らは常に株価の上下を見続けながら売買して、一瞬の判断を間違えたら破産する高いリスクと背中合わせです。これはこれでシビアな世界ですので、みなさんにはぜひ、『健全な投資家』になってほしいと思います」
――なるほど、もっともです。
杉村さん「それだけに、企業の応援団、という姿勢が大事です。そして、応援した企業が成功すると、結果として利益が付いてくると思ってほしい。また、前提としては、余剰資金を使う感覚がいいと思います。絶対に必要な生活費までつぎ込むのはいけません。そう考えると、やっぱり好きな会社(銘柄)を買うのがいいんですよ」
――会社(銘柄)選びのポイントはありますか?
杉村さん「考え方としては、もしあなたが『どの会社にでも就職させてあげるよ』と言われたとき、『就職したいな』と思う会社を選ぶべき。あるいは、自分の子供や孫が『こんな会社に就職してほしい』と思える会社もいいでしょう。この経営者のもとで働きたいな、という発想もいいですね。
労働とは、自分の人的資本(ヒューマンキャピタル=人の持つ能力)を提供すること。株式投資とは、自分の金融資産を働かせることです。いわば自分の分身である資産を『どの会社で働かせたいか』といったら、やっぱり、社会的な責任を果たしていて、世の中を変えようとする会社がよくないですか。
そして、仕事を通じて自分が磨かれて成長するのと同じで、(投資したら)大きくなって帰ってきなさいよ、というわけです」
――ありがとうございます。企業の「応援団」として好きな会社に、自分が働きたいと思うような会社に投資すればいい、というわけですね。でも、やっぱり「儲かる」「儲からない」は、気になります......。
これについて、タイゾーさんの考えはどうか。次回、お話してもらいます。
※ 「その2」は2022年1月2日付の公開になります。
プロフィール
杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)
1998年4月筑波大学に入学、2004年3月中退。派遣社員を経て、外資系証券会社に勤務。2005年9月、自民党公認候補として衆議院議員選挙に立候補して当選、政治家として活動した。杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)
現在はタレント、コメンテーターとして情報番組などに出演するほか、実業家・投資家としても活躍中。2020年3月、ベーシックインカムについて研究していた慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程を単位取得満期退学。近著に『「投資」「副業」お金の基本がゼロからわかる 稼ぎ方革命』(KADOKAWA刊)。https://www.sugimurataizo.com/
1979年、北海道旭川市生まれ。