【お正月は本を読む】世界チャンプに学ぶビジネスの秘訣! 勝ちスイッチの奥義とは?(尾藤克之)

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パンチをもらわずに勝つ

   試合前に遺書を書いて会場に向かうボクサーや、「ぶっ殺してやる」と、気持ちを極限まで高めて決戦への花道を歩くボクサーの話はよく耳にする。しかし、井上さんは「命をかける」ボクシングは、理想とするボクシングの対極に位置していると言う。

「ルールのある競技のなかで、腕だけを使って、最大限に、何ができて何を魅せられるのか。スポーツと割り切れるほど、純麗な感情ではなく、表現は難しいが、情熱や殺気、そして冷静さ......その両方のバランスを操りながら、勝つためのデザインを描き、その作業を遂行していく。ボクシングの最高峰を突きつめたいのだ」

   井上さんは、

「スピード、テクニック、パワー、気力、ラウンドのコーディネート、そして、人智を超えた神業。僕は『打たさずに打つ』『パンチをもらわずに勝つ』究極の心技体の完成作品をそこに求めている」

   ビジネスの世界にいると、目的を達成するためにガチで争うことがある。目標を達成してもモヤモヤが消えないことがある。刀を抜くと対立は避けられないが、そんな時ほど意識しておきたい。

   「打たさずに打つ」「パンチをもらわずに勝つ」ということ。この機会に、世界チャンプの「勝ちスイッチ」をご賞味いただきたい。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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