世界の評価、トヨタはEV化に後ろ向き?
今回の発表でも、豊田社長は「いかなる状況やニーズにも対応し、カーボンニュートラル(脱炭素)の多様な選択肢を提供したい」と述べ、基本姿勢に変化がないことを強調した。
しかし、9月時点でもEVとFCVで2030年に200万台の目標は維持していたのが、今回、EV350万台とし、電池への投資額も9月に打ち出した1兆5000億円から2兆円へと、わずか3か月で大幅に変えたのは、いかにも唐突感が拭えない。
トヨタの全方位戦略は、日本国内では評価されている。日本で全乗用車をEV化した場合、原発10基が新たに必要との試算もあり、HVやPHVも活用し、発電の電源構成の動向を見極めながらEV化を進めていくというのは、現実的だからだ。何より、電池で優位に立てば、EVであれHVであれ、競争に勝てるという自信がトヨタにはあるはずだ。
だが、国際的な評価はまた別。特に話題になったのが、環境保護団体グリーンピースが11月、英国で開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に合わせて公表した世界10大自動車メーカーの脱炭素化の取り組みのランキングで、トヨタは最低評価となった。その最大の理由がEVへの移行の遅れとされたのだ。
もちろん、グリーンピースの評価だけで、どうこうということはないが、今回のトヨタの発表会で豊田社長が「これでもEVに前向きでないと言われるなら、どうすればご評価いただけるのか」と述べたのは、国際的な視線を意識したものといえる。