オミクロン株を「災い転じて福となす」
こうした悲観的な見方が多い中で、「個人消費は回復基調にあり、オミクロン株による現時点での景気へ影響は限定的」とやや楽観的な見通しなのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏によるレポートだ。
「2022年の日本経済見通し」(12月22日付)のなかで、「実質GDPは2021年度が前年度比プラス2.7%、22年度は同プラス2.9%、23年度は同プラス1.2%」と予想している=図表3参照。
そして、こう分析する。
「(日本経済は)原材料価格の高騰といった悪材料はあるものの、新型コロナウイルスの感染者数が比較的抑制されているなか、個人消費はサービスを中心に回復基調にあります。また、企業活動については、自動車産業などでの供給制約による生産の下押し圧力も、徐々に後退しつつあります」
注目のオミクロン株についてはこうだ。
「オミクロン型の感染は、国内でも報告されていますが、現時点で景気への影響は限定的となっています。この先、オミクロン株の感染拡大はリスク要因ですが、経済活動の再開と感染対策の両立は可能と考えています」
そして、2022年の日本経済の推移については、経済対策による景気浮揚効果が4~6月期まで続く。7~9月期以降は、効果の低下による成長ペースは鈍化するも、回復基調は維持される、と見ている。
そのうえで、「物価の伸びは力強さに欠け、日銀が掲げる2%の物価目標は、達成が難しい。また、日銀は少なくとも2022年は、現行の金融政策の枠組みが維持する」と予想する。また、岸田文雄政権の経済対策の予測については、こうだ。
「岸田政権は当面、景気配慮型の政策運営を続けると思われます。12月20日に21年度の補正予算が成立し、コロナ対策や経済活動の再開に向けた費用が計上されたことで、しばらくは不測の事態への対応が可能となりました。仮に、オミクロン型の感染が深刻化すれば、岸田政権は2022年夏の参院選を前に追加経済対策を打ち出し、一段の景気浮揚を図ることも予想されます」
これは、オミクロン株の感染拡大を「災い転じて福となす」の好機とする、ということだろうか。
(福田和郎)