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「物価の優等生」だった日本経済の強みが弱みに

   一方、「今や世界の『物価の優等生』である日本経済の強みがいずれ弱みに」(2021年12月24日付)と独自の視点から先行き不安を指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   その中で、日本では2021年秋から年末にかけて、日用品の物価が上がったものの、欧米の物価高騰ぶりに比べると、まだまだ物価は安定しているとして、こう指摘する。

「新型コロナウイルス問題以前、日本は低成長、低インフレ、低金利が長期化している、いわば病気を抱えた国、との認識は海外で広く持たれていた。そして、そうした現象が他国にも広がっていく『ジャパナイゼーション(日本化)』が警戒されていたのである。ところが今年(2021年)に入ってからは、欧米諸国が物価高騰に悩まされる中、日本では物価の安定が維持されており、にわかに『物価の優等生』として評価が高まっている」

   また、日本の物価上昇率が他国と比べてマイルドである理由として、(1)低い経済の潜在力に対応して物価上昇率のトレンドが他国よりも低い、(2)緊急事態宣言など規制措置が長引くなか、他国と比べて経済の回復力が弱い、(3)企業の雇用、賃金、価格決定の慎重姿勢、を指摘した。

   この中で述べられている第3の理由、つまり「企業の慎重姿勢」とはダイナミックさが足りない、ということだ。

   米国などでは、新型コロナによる経済悪化を受け、企業が雇用者を一気に削減する一方、経済の持ち直しとともに再雇用を進めた。しかし、労働者は失業保険給付を受けられるため、再雇用に応じず、深刻な人手不足を生じた。そこで企業は、賃金を大幅に引き上げて人手確保に動き、その高い賃金上昇が、モノやサービスの価格にも転嫁されているのだ。

   ダイナミックな企業の決断と行動によって賃金や物価が大きく上昇しているわけだ。ところが日本では、賃金と物価ともに停滞し続けている。

   木内氏は、深刻な人手不足が生じていないことから、賃上げの動きが広がりにくいこと。また、日本の企業は、価格引き上げが売り上げのシェア低下につながることを警戒するため、価格引き上げに慎重なことなどから、「日本では激しい価格の上昇は見られていない」とした。そして、

「ただし、企業の慎重な雇用、賃金、価格決定による物価の安定は、日本経済の『強み』として認識されているが、長い目で見れば『弱点』である」

と指摘するのだ。

   新型コロナが収まり、ポスト・コロナによって、新たな需要が高まる分野でも日本企業のこうした姿勢が続けば、生産増加や新規雇用が進みにくい。ひるがえって、消費者の需要が満たされない時期が長引き、経済の回復が他国と比べて遅れてしまうだろう。

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