イーサリアムの選択に軍配 アルトコインは厳しい状況に
他を大きく引き離して1位となった明治大学の城正人さんは、ブロックチェーン技術などの専門的な知識が詳しく、また時事的な情報収集にも余念がありませんでした。
そのため、知識量の差が勝敗を分けたといえそうです。結果的に城さんの購入したイーサリアムは、主要な国内取り扱いの仮想通貨のなかで一番上昇しました。
途中で取り扱いの始まったエイダコイン(ADA)なども大きく上昇しましたが、相場の中心はアップデートのあったイーサリアムと、上場投資信託(ETF)の承認期待のあったビットコインでした。そのため、BAT(バット)やNEM(ネム)を選択した学生トレーダーには厳しい状況だったといえます。
多くの学生が、株式市場や金融政策の動向、またインフレと仮想通貨の関係を調べ、取引に生かしていたことは非常に評価できるポイントでした。
2020年半ばから、ビットコインは「インフレヘッジ」として注目され、アセットマネジメントが参入するきっかけとなりました。株式や債券市場との相関性もますます高くなり、米10年債利回りとビットコインが連動するようになってきました。
インフレが進めば進むほどビットコインの価値が上昇しやすくなり、物価関連の経済指標で価格が動く場面も多くなりました。
また、米FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「仮想通貨を禁止しない」といった旨の発言をわざわざ行ったことは、中国とは違うという米国のスタンスを示した意味のある発言だったのでしょう。
◆ まとめ
暴落から始まり、中国規制や収まらない新型コロナの影響により、乱高下した仮想通貨市場。取引している学生のなかには、正直ウンザリしてしまった人もいるかもしれません。
けれども、諦めずに取引を続け、暗号通貨バトル以外ではレバレッジ取引を行ったり、企画が終わった後も取引を続けることを表明してくれる学生がいたりします。2015年から仮想通貨業界の一端を見てきた筆者としてはうれしく思い、少しでも興味がある人が増えていけば良いと思っています。
なにせ、ブロックチェーン、暗号資産はインターネットに次ぐ発明と言われており、事実史上最速で「兆円単位」の資産を創ったのですから。(児山将)
◆ 2年連続で挑戦した職業能力開発総合大学校
【総合3位】私がこの暗号通貨バトルに参入したのは2020年8月、他の大学に少し遅れての参戦でした。はじめは取引の仕方や手数料のことをよく考えずに取引していました。判断ミスによる損も経験。よりによって1000円近く大損した時にLINEニュースに載ってしまい、大学の教授に目をつけられました。いや、別に悪いことをしているわけではないのですが......。
ところで、私が参戦した時のビットコイン(BTC)の価格を覚えていますか? いま、過去のチャートを見ているのですが、2020年8月はなんと80万円台で1BTCが買えていました。それが今年、過去最高額の780万円に到達ししたのです。すごいですね。「億り人」が生まれるわけです。残念なことに、私はそのようなことにはなりませんでした(笑)が、調べて、分析して、知ろうとすれば、誰にでもチャンスは転がっているのだと確信するきっかけになりました。
今シーズンはA、Bのグループに分かれて対戦が進んでいきましたが、他の大学の二人の記事はよくまとまっていて、私にはあのようなきれいな文章では書けません。私の記事はつまらなかったかもしれませんが、個人的には新聞を読むきっかけにもなって結構楽しかったのでプラスになったと思います。 来年からは新卒1年として新たな一歩を歩むことになりますが、正直不安しかありません。より良いステップを歩むために資格を取るために勉強していますが、今のうちにできることはどんどん失敗して経験を積んでいきたいと考えています。
最後に1年間支えてくれた編集者の方や読者に感謝いたします。またの機会がありましたら、どこかで! どうぞよろしくお願いいたします。(さっちん)
◆ 大学対抗 1万円からはじめる暗号通貨バトルのルール学生投資連合USIC
・元本は1万円です。
・投資する暗号通貨の選定は自由です。ただし、国内で購入できる暗号通貨に限ります。
・レバレッジは、かけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)します。
・元本割れは1回まで。リベンジ(再投資)可能ですが、2度、資産(合計で2万円分)を失った場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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