「もう理不尽な残業の指示はない」
それぞれの業界を代表する企業の現役社員の生の声も見てみよう――。
(1)建築、土木、設備工事業界
清水建設「働き方改革に熱心に取り組んでおり、5年前と比べて風土も変わった。しかし、他産業と比べると残業時間は長く、特に現場ではその傾向が顕著。業界全体で働き手の確保や契約内容の改善を進めているが、さらなる推進が求められる」(文系、女性)
(2)コンサルティング、シンクタンク業界
アビームコンサルティング「働き方改革の影響を受けて、非常に働きやすくなったことはとてもよいと感じている。以前は深夜残業が当たり前で、残っている人ほど頑張っていて偉いといった雰囲気があり、とても強く不満だった。しかし今は、会社を上げて効率的に仕事をして、なるべく残業せずに早く帰るように促す施策が実施されており、深夜残業については大幅に解消されている」(P&T=コンサルタント、男性)
(3)広告代理店、宣伝、販売促進、デザイン業界
博報堂「私が入社した10年前は、いわゆる激務が常態化していたが、昨今の働き方改革によって会社全体としては大きく改善し、ワーク・ライフ・バランスも取りやすくなった。しかし、一部のチームでは、まだまだ昔のような状態が続いている。これは、得意先のスタンスにもよるためで、現場努力だけでは完全な解決は難しいと思われる」(営業、男性)
(4)不動産関連、住宅業界
野村不動産「ここ数年でかなりの変化があり、残業時間管理が年々厳しくなっている。業務効率化の意識は上がってきており、理不尽な残業を強いられるようなことはない。あとは本人次第だ」(本社スタッフ、男性)
(5)旅行、ホテル、旅館、レジャー業界
エイチ・アイ・エス「昔は残業ありきの体制で、それによる退職者が多かったですが、ここ最近はだいぶ変わってきました。世の中の風潮もありますが、『残業は悪』という意識が社内全体に広がり、あまり残業をしていると会社からもチェックされます。また、周りからも『効率の悪い人』というイメージになるため、残業自体しづらい雰囲気になっています。一部の部署ではフレックス勤務も実施されており、必要業務時間が日ごとでなく、月間で管理できればよいため、忙しい日は残業しても他の日は午後早めに退社といった調整ができ、プライベートを充実させることができます」(総合職、女性)