テーパリングだけで物価上昇は止まらない!
こうした状況を受け、今回のFOMCで、2022年1月から資産購入の縮小ペースを毎月300億ドルに倍増し、22年3月に資産購入を終了することにした。
確認しておくと、この「テーパリング」は、緩和をやめる、つまりこれ以上緩和しないということで、景気過熱と物価上昇を抑え込む力は限定的だ。そこで、次の段階として金融を引き締める利上げが焦点になる。
テーパリングで物価上昇が止まればいいが、それは難しいだろう。FRB自身、FOMCに合わせて公表した経済・物価見通しで、22年の物価上昇率は年2.6%(9月時点の見通しは2.2%)に引き上げ、23年は2.3%、24年は2.1%とし、FRBの「平均2%」目標に収束するまでには数年かかると見込んでいる。
他方、経済成長率の見通しは22年4.0%(前回見通し3.8%)に、やや上方修正した。
これらの数字は、経済状況は全体に堅調に推移するが、物価は抑える必要があるという政策の方向を示している。FOMCメンバーが12月15日に示した金利見通しで、18人の過半数が「22年に3回以上の利上げ」を行ったうえで「23年末までにさらに3回以上の利上げ」を実施するのが適切との判断を示した。
金融政策が引き締めに転じれば、カネ回りが悪くなり、株価にはマイナスというのが理屈だが、株式市場などもひとまず落ち着いている。利上げペースが緩やかで、景気も堅調なら、いまはインフレ抑制を優先するのが安定的な経済成長にプラスだと、市場も判断しているようだ。