「後輩男性にお母さんのように接して」上司に頼まれた女性の投稿が大炎上! セクハラ発言か、それとも...専門家に聞いた

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お母さん、女将、姉御と呼ばれて誇らしい人も

――なるほど。確かに失礼極まりない発言ですね。一方で、「上司のいうこともわかる。投稿者がキツイ調子で後輩にあたっているので、もっと優しく指導をしてくれと言いたいのだ」という意見も多くありました。

川上さん「確かに、上司としては『もっと優しく指導をしてくれ』『期待している』という意図を込めた発言なのかもしれません。ただ、それであれば『お母さんのように』という言葉はまどろっこしすぎます。実際に、その意図が投稿者さんには伝わっていません」

――川上さんが上司の立場だったらどう発言しますか。

川上さん「上司が投稿者さんに『何を伝えたかったのか』によって、発言の仕方がまったく異なります。
仮に『もっと優しく指導をしてくれ』ということなら、『いつも彼をフォローしてくれてありがとう。ただ、せっかく良いアドバイスをしているのに、時々伝え方がキツク聞こえてしまうことがあるから、彼を過度に身構えさせないように柔らかい言葉を使って教えてあげてね』などと、日ごろの行いに感謝しつつ、その行いがより効果的になるような改善点を丁寧に伝えることになると思います。
あるいは、『あなたに期待している』ということを伝えたいのなら、日々の行動の中から具体的事例を挙げながら投稿者さんのどんなところを評価しているのかを伝えたうえで、今後期待したい行動・役割・成果を丁寧に伝えます」

――つまり、「お母さんのように」という曖昧な表現だと誤解を与えるばかりだということですね。

川上さん「相手によっては『お母さんのように』という曖昧な表現でも伝わる場合もあります。しかし、それが機能するのは日々のコミュニケーションの中で『お母さんのように』という言葉から、相手が何を連想するかが把握できている場合に限ります。相手がどう受け取るかもわからない中で、曖昧な表現を用いても、混乱を招くだけです。
むしろ、上司にとっても投稿者さんにとってもマイナスにしかなりません。上司が何らかの指示を出すときに大切なのは、『伝える』ことではありません。伝えたいことがきちんと相手に『伝わる』ことです」
相手に「伝わる」ことが大事(写真はイメージ)
相手に「伝わる」ことが大事(写真はイメージ)

――もともと、上司のコミュニケーション力の不足に非があるというわけですね。もうひとつ気になったのは、回答者の中に「私も職場では『お母さん』『女将』『姉御』と呼ばれている」と、むしろ誇らしげに語っている人が多くいたことです。

川上さん「職場は人が集まる場所です。それぞれが個性を認め合い尊重し合うことが、職場の雰囲気をより明るく風通しのよいものにすると思います。
『姉御』や『お母さん』という言葉自体は、決して悪口ではありません。そこに親しみや尊敬の念がこもっているのであれば、『姉御』や『お母さん』という表現によって、親密度が増す効果も期待できるのではないでしょうか。
大切なことは、それを不快に思ったり、違和感を覚えたりする人がいるかどうか。そこがカギを握っていると思います」
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