「後輩男性にお母さんのように接して」上司に頼まれた女性の投稿が大炎上! セクハラ発言か、それとも...専門家に聞いた

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受け手次第で十分セクハラになりえる?

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の「後輩男性のお母さんになってほしい」と上司に頼まれてショックを受けた女性の投稿について、働く女性の問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

後輩男性とは気楽な関係でいたいのに...(写真はイメージ)
後輩男性とは気楽な関係でいたいのに...(写真はイメージ)

――今回の投稿と、回答者たちの意見を読み、率直にどのように思いましたか。

川上敬太郎さん「上司がどのようなシチュエーションで、どんな意図で『お母さんのように』という言葉を発したのかがハッキリしないため、回答者の方々も各自が想像を働かせてアドバイスせざるを得ないのだと感じました。
投稿者さんが『私の年齢から母親のような気持ちで気にかけて欲しいという意味だと理解した』と受け止めたことについては、後輩よりも年齢が上である、という理由だけで『母親』という表現を用いているとしたら、セクハラと見なされても仕方ないと思います。
ただ、投稿者さんは上司の発言自体に戸惑いを感じて、セクハラかどうかさえよくわからない状況のようです。一番の問題は、何かを伝えたかったはずの上司が、発言の意図を投稿者さんに伝えられていないことにあります」

――このように、女性が職場で母親代わりの役割を担わされることについて、川上さんが研究顧問をされている、働く女性の実態を調べる「しゅふJOB総研」で調査したことはありますか。

川上さん「職場における『母親代わり』とはどういう役割なのかは、人によって受け取り方にかなり違いが出るように思います。
しかし、『母親』というニュアンスに焦点を当てると、積極的に関わって育てるというよりは、優しい微笑みをたたえながら見守るような、一歩引いた距離から後輩をサポートするような位置づけのようにも感じます。
『母親代わり』の役割について直接調査したものではありませんが、関連しそうなものとして『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦層に『10年後に増えそうな夫婦のワークスタイル』について調査したことがあります。

◇10年後に増えそうな夫婦のワークスタイル

その結果、圧倒的に多数だったのは『夫婦対等に共働き』で6割を超えました。しかし、今はまだ、夫が中心的に働いて、妻は補助的に働くイメージが強いように思います。会社でもそのイメージを引きずり、女性がサポート的な業務を中心に任されている職場は多いのかもしれません。
男性社員がコピーをとったりすると、『女のコ』に任せておけばいいのだと、上司に指摘される、といった光景はひと昔前ではよく見られました。そのような風土の職場では、男性社員は外へ営業に出向き、事務職の女性社員が中で彼らの世話をする『母親代わり』を求められました。
しかし、調査結果が示しているのは、10年後は妻も夫も対等なかたちで、中心的に働いていると思っている人が多いということです。
10年後には、働く女性の姿と『母親代わり』のイメージとの間に、今以上のギャップを感じることになるでしょう。そう考えると、上司が『母親代わり』を求める背景には、旧態依然とした働く女性像が影響を及ぼしているように思えます」
「昭和のお母さん」になれと言われても...
「昭和のお母さん」になれと言われても...

――上司の発言はいまの時代に合っていないわけですね。ちなみに、セクハラにあたるかどうかについては、いかがでしょう?

川上さん「セクハラに該当するかどうかは、投稿者さんご自身がどう感じたかによるところがあります。投稿内容を見ただけでは一概にセクハラとは決められませんが、受け手次第で十分セクハラになりえます。
たとえば、仮に、投稿者さんが日ごろから老けて見られることを気にしているとしたらどうでしょうか。上司にはその意図がなかったとしても、『お母さんのように接して欲しい』という一言から、『自分はやはり実年齢よりずっと年上に見られているのか!』と心が傷ついてしまうかもしれません」
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