オーケー「首都圏の非上場スーパー」から全国区に名乗り
それというのも、H2Oの傘下にはすでにスーパーマーケットの「阪急オアシス」と「イズミヤ」があるが、両社とも経営状態は厳しく、「こんなぼろぼろな会社」(関西スーパーの株主)と敬遠されるほどだ。経営統合でH2Oの傘下に入った関西スーパーはオアシスとイズミヤの親会社となり、2022年2月には中間持ち株会社「関西フードマーケット」の下に三つのスーパーが並ぶ形になる。経営統合で関西スーパーの社長には阪急百貨店出身者が就いたが、建て直しは至難の業となりそうだ。
一方のオーケーは意気軒昂で、敗者とは思えない様子だ。二宮涼太郎社長は、最高裁に棄却された日から報道機関の取材に相次いで応じ、買収断念を表明するとともに関西スーパーにエールを送る余裕さえ見せた。関西進出にも、引き続き意欲を示した。
買収合戦でオーケーは積極的に取材に応じており、「首都圏の非上場スーパー」から全国区に知名度を高めた。
しかも、関西スーパーには今回の経営統合に反対する株主から株式を買い取る義務があり、上位株主のオーケーにはまとまった現金が入ることになる。オーケーはこれを次の投資に充てることもでき、全国区となった知名度を生かして、他社との提携も含めた戦略の幅が広がる。
どちらに転んでも実利を得たオーケーと、どちらに転んでも「いばらの道」だった関西スーパー。逆転に次ぐ逆転で世間の注目を集めた異例の経過でさえ、結果的にオーケーを盛り立てていたのだ。(ジャーナリスト 済田経夫)