どん底だった「居酒屋」にも復調の兆し
さて、コロナ禍の影響で最も多く取り上げられたのは、飲食業だろう。しかし、「第3次産業活動指数」を見ると、同じ飲食業でも濃淡があり、意外な姿が浮かび上がる。
同じ飲食業の中でも、「ファーストフード店」には新型コロナの影響があらわれていない。むしろ、新型コロナの影響により、好調に推移しているといえるだろう。
具体的には、2020年1月に116.9だった指数は、同年4月に96.4にいったんは低下する。しかしその後は、110.0以上を維持し、2021年9月には121.0にまで上昇した。10月も118.6であり、平均指数は112.1となっている。
影響が比較的に軽微だったのは「食堂、レストラン、専門店」だ。2020年1月に101.1だった指数は、同年4月に39.4まで落ち込むが、その後は順調に回復して70.0程度を維持した。10月も77.8で、平均指数は69.4となっている。
一方で、飲酒を伴う「パブレストラン、居酒屋」への影響は大きい。2020年1月に87.3だった指数は、同年4月には7.4にまで激減した。100人で満席の店に7人、20人で満席の店なら1.5人しか来店しない、ということだ。
その後、徐々に回復し、2020年10月には51.5まで指数は上昇した。だが、やはり2020年末からの感染拡大を受け、再び低下。2021年9月までは30.0以下で推移し、10月には35.3に上昇したものの、平均指数は27.5にとどまっている。このように、パブレストラン、居酒屋では1年半以上にわたって3割以下の稼働状況が続いた=表3参照。
こうして見ていくと、新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けたといわれる旅行関連、宿泊関連、飲食関連でも、その影響度合いには濃淡があった。そして、10月の緊急事態宣言解除を受けた回復度合いにも、格差が出ている。
政府はこうした実態を把握し、適切な支援策を実施することが肝要だ。