2Gアームバンドをつけてクリスマスマーケットへ
一方、クリスマスマーケット開催に踏み切った地域はどんな様子かというと......。
しっかり賑わっています! 特に夕方以降や週末は、コロナ禍とは思えないほどの人混みです。
もちろん、手放しでそれを喜べる状況ではありません。私が住むノルトライン=ヴェストファーレン州では2021年12月4日以降、クリスマスマーケットや小売店では新型コロナウイルスワクチンを接種済み(Geimpfte)か、感染後に回復した(Genesene)ことを証明できる人だけが施設を利用できる「2Gルール」が適用されています。公共の交通機関は、陰性証明(Getestete)も認められる「3Gルール」です。
そのため、マーケットに入場する際にはまず「2G」と書いてあるジャケットを着ている係員さんにワクチンパスを提示するなどして、アームバンドをもらわなければなりません。
そして、スパイスたっぷりのホットワイン「グリューワイン」を買う時も、焼きソーセージを注文する時も、そのアームバンドを提示します。 ある屋台で家族の分をまとめて買おうと思い、3つ注文したら、「あなたが一人で食べるの?」「ほかの人のアームバンドも確認しないと売ることはできないわ」と、厳しくコントロールされました。
この厳しい入場規制が、クリスマスマーケットに出店する屋台のオーナーの顔を曇らせています。「わざわざチェックされることを嫌う人は多い」「仕事は増えて、客は減った」というのが、店側の言い分です。
ノルトライン=ヴェストファーレン州の商工会議所の発表によると、クリスマスマーケットが開かれてから2週間の売り上げは2019年の同時期と比べて4割ほどにとどまっているそうです。
「祖父母と過ごす最後のクリスマスになってはなりません」と昨年12月、今はもう元首相となったメルケルさんが感情的にスピーチをした冬から一年。新型コロナウイルス対策、ワクチン接種の有無によって、社会の分断は深刻化しているように感じます。(高橋萌)