お客にあえて誤解させる誇大広告のトリック
【事例4】解約して初めて「18回ほどで効果が出る施術だが、返金対象は8回まで」とわかった
未成年の娘のために脱毛エステを契約しようと2人で出向き、カウンセリングを受けた。「今だと5年間全身通い放題がお得です」「自宅で使える約10万円の脱毛機器もついてきます」と勧められ、全身脱毛通い放題コース25万円、家庭用脱毛機器10万円を個別クレジットで、総額約40万円の契約をした。
娘は1年で7回程施術を受けたが効果がないと言い、中途解約を伝えた。ところが、「18回目くらいから効果が出る。8回以内であれば返金があったが、キャンセル扱いになった回数も含んで8回以上消化しているため、契約残額はすべて支払ってもらう」と言われた。そのような説明はなかったので納得いかない。(2021年5月、30歳代女性)
こうしたトラブルは、なぜ起こるのだろうか。
エステティック業者がうたう「永久脱毛」「期間・回数無制限」「○年間通い放題」「○年保証」などという宣伝コピーや、カウンセリング時のお客に対する説明が非常に紛らわしく、消費者側に誤解を与えているからだ=下図の「契約内容を誤認させるやりとり」参照。
いや、あえて誤解を与える表現でお客を釣っている面があり、国民生活センターでは、日本全身美容協会、日本エステティック振興協議会、日本エステティック機構の業界3団体に「トラブル防止対策」の徹底を強く要望している。
では、どこが誤解を与える内容なのか――。じつは、「期間・回数無制限」や「○年間通い放題」など、長期間にわたって施術を受けられるコースには、特定商取引法に基づく契約上、「有償で施術を受けられる期間・回数」(有償提供サービス)と「無償で施術を受けられる期間・回数」(無償提供サービス)とに分かれている。
契約時から一定の期間・回数を「有償提供サービス」とし、それ以降の「無償提供サービス」については、 いわゆる「アフターサービス」としているところが多い。
そして、「有償提供サービス」の期間中には中途解約は可能で、一定の割合で返金をするが、「無償提供サービス」期間については中途解約を受け付けないし、返金もしないところが大半だ。なぜなら業者からすると「アフターサービス」、、つまり、業者が善意でやっており、特にやらなくてはいけない義務がないからだ=参考1の「解約の申し出がきく期間」参照。