スッゴイ派遣社員はいかにして巨大グループの役員に駆け上がったのか!

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正社員になった日

   次の転機が英語だった。日常会話をこなせる程度だったが、情報システム室長から海外に送るメールの下書きを頼まれた。ネイティブのメールをコピペして修正した。「海外との連絡係も二宮くん」という雰囲気が生まれた。

   気がつけば、グローバル会議の裏方になり、ヨーロッパの主要子会社のITのトップとも共闘するようになった。やがて、アメリカの進んだIT技術やアメリカの子会社の考え方や戦略を日本の本社の担当者にわかりやすく説明するという複雑な「翻訳」が仕事になった。

   自前サーバーのクラウド化を提案し、反対を押し切って導入に成功。日本の会社で提案を通すための「根回し」も自分なりに覚えた。契約社員として年収1000万円を突破した。だが、徳島の親に話しても「そんなに稼いでも、正社員にはしてもらえないの?」というつれない反応。理解されない孤独感が募った。

   上海万博への出展プロジェクトにかかわり、大塚ホールディングスのグローバルIT担当として働いていた30歳のある日、役員に呼ばれた。正社員になり、室長補佐をやれ、という話だった。自分は雇用形態には興味がなかったが、「役職」には関心があることを初めて知ったという。

   その後の成功、昇進、独立についても書いているので、詳しく知りたい人は本書を読んでいただきたい。

   「あとがき」で、二宮さんは派遣のヘルプデスクという仕事は、たまたま就いたものではない、と書いている。その仕事はループホール(抜け道)だと思い、進んでその仕事に就いたのだと。

   部署に縛られず、会社中の人と接することができる。その会社が抱えている問題点を客観的に見ることができるポジションだからだ。

   どこかにループホールはあるはずだ。「みんなが通る道ではなくて、誰も通ったことのない道にこそ、新たなチャンスがある」と鼓舞している。

   派遣社員、若手社員が読めば、勇気が出る本だ。

「派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則」
二宮英樹著
ダイヤモンド社
1650円(税込)

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