「すぐ電話しないと個人情報が流出する」と脅す
具体的にはどんな手口なのか――。
あらゆるインターネット犯罪の情報を提供している独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」(2021年11月16日付)の安心相談窓口だより「偽のセキュリティ警告に表示された番号に電話をかけないで!~パソコンにおける最近の手口と対策を解説~」によると、こうだ。
(1)まず、警告画面がいくつも重なって開く。しかも全画面表示で固定されて「閉じるボタン」が隠されてしまい、画面を閉じることができない事例が多い。
(2)けたたましい警告音や、テクニカルサポートを名乗る「ウイルス感染」などの警告アナウンスが大音量で延々と流される。この段階で、パソコンを操作している人は不安にかられ、パニックになる人も少なくない。
(3)実在するマイクロソフト、マカフィーなど企業名やロゴ、またWindowsの標準機能からの警告を偽った表示が、繰り返し表示される。そして、サポート窓口の電話番号が繰り返し表示されるから、「本物」を勘違いしてしまう人が少なくない。
(4)さらに焦らせるような表現が目立つ。「たった今、スキャンして多数のウイルスが発見された」というスキャン動画や、「今すぐ対応しないと個人情報が流出する」「放置するとパソコンが使えなくなる」など切迫感を与え、電話をかけさせようとする。
では、電話をかけた後はどうなるのだろうか。
(5)電話をかけると、片言の日本語を話すオペレーターが出る。マイクロソフトのカスタマーサポートの社員や技術者と名乗ることが多い。途中で不審に思い、電話を切っても何度もかけ直してくるから厄介だ。
(6)「パソコンが危険だ」とウソの説明をする。不安を持ったユーザーに遠隔操作で、パソコンにさまざまな画面を表示させ、危険性をあおって強引に高額のサポート契約を結ばせようとする。
(7)支払いは電子マネーのプリペイドカードでの決済を要求する事例が多いが、勝手にパソコンの設定を変更し、「データを削除する」「パソコンを動作不良にする」などと脅し、「元に戻すために契約しろ」と要求する悪質な手口も確認されている。
(8)支払いが完了してもまだ搾り取ろうとする手合いも。最近では繰り返し電子マネーを購入させ、複数回支払わせる例が増え、結果として高額な支払いにつながる悪質な事例が多い。