企業が直面する4つのパラダイムシフト
次の章で、BCGマネージング・ディレクター&シニア・パートナーの東海林一氏は、日本企業が直面する4つのパラダイムシフトについて説明している。
企業目標が「財務的な利益の実現」から「社会的な利益の追求」への変わること。企業の地球市民としての責務の観点からはもちろん、企業のゴーイングコンサーン(永続的な発展)からも合理的であり、カーボンニュートラルへの対応は筆頭のテーマだという。
次が、「先を読む」から「先が読めないことを前提とした経営」に戦略策定がシフトすることだ。具体的には、さまざまなシナリオを描き、変化の兆しをとらえ、シナリオへの対応力を高めることが求められる。
3つ目が「決めたことを実現する」集団から「付加価値を追求する」集団へ企業が進化することだ。
第4には「企業に即した人材マネジメント」から「変化に対応する人材マネジメント」に変わることだ。
そして、2022年を「非連続の発想で経営を進化させるタイミング」としている。コロナ禍により、予想できないことが相次いだ。インバウンドの消滅、通勤ラッシュの緩和、飲食など対面サービスの忌避などだ。企業は生き残りをかけて対応を迫られた。こうした予想外の事態がこれからも続くことを織り込むことが必要になるというのだ。
パート2では、業界別にエキスパートが論点を提示している。あちこちで「ポートフォリオ」という言葉が出てくる。プロジェクトや事業の組み合わせのことだ。たとえば、製造業(産業財)では事業ポートフォリオの絞り込みを提案している。幅広い事業ポートフォリオを有するメリットよりも小規模の事業が分散しているデメリットの方が大きくなりつつあるからだ。