ボストン コンサルティング グループが予測する2022年【12月は、2022年をのぞき見する一冊】

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   2021年も残り10日を切った。昨年来のコロナ禍でさまざまな活動が「自粛」され、人々は悶々とした生活を送っている。夏に開かれた東京オリンピック・パラリンピックの代表選手や、米大リーグのロサンゼルス・エンゼルス、大谷翔平選手の大活躍に胸が熱くなり、救われた思いだった。

   さて、来る2022年、干支は寅。2月には北京冬季オリンピック・パラリンピックが開かれる。世界は、日本の経済は? 人々の生活は......。12月は、そんな「2022年」や「寅」にまつわる一冊を取り上げたい。

   「2022年は、企業経営において、ウィズコロナの面は残りながらも、アフターコロナの次の数年を見通してさらなる進化を実現させる年となる」。書き出しで、そう説いているのが、本書「BCGが読む経営の論点 2022」である。

   BCGとは、戦略的コンサルティングのパイオニアとして知られる「ボストン コンサルティング グループ」のこと。2022年以降、ビジネスリーダーがとるべき方向性を示している。

「BCGが読む経営の論点 2022」(ボストン コンサルティング グループ編)日本経済新聞出版
  • 2022年は「次の数年を見通してさらなる進化を実現させる年」!(写真はイメージ)
    2022年は「次の数年を見通してさらなる進化を実現させる年」!(写真はイメージ)
  • 2022年は「次の数年を見通してさらなる進化を実現させる年」!(写真はイメージ)

コロナ前には行動様式と価値観は戻らない

   パート1の「2022年のパラダイムシフト」では、BCG日本共同代表の内田有希昌氏が、アフターコロナの2つの方向性について書いている。それは、「ニューノーマル時代の到来」と「経済活動の前提の地殻変動的揺らぎ」である。

   まず、アフターコロナ期においては、コロナ禍前にノーマルと考えていた状態に完全に戻ることはないとクギを差している。ニューノーマル時代の行動様式として、消費生活におけるデジタルチャネルの受容性の高まりとリモートワークを挙げている。EC(電子商取引)での買い物にも慣れ、ネットフリックスなどの動画配信サービスも格段に普及した。リモートワークの利点に従業員、企業ともに気が付き、ZOOMなどによる会議や商談はお互いに利便性がある効率的な方法と認識されるようになった。

   こうした行動様式の変化もあり、人々の価値観も後戻りしないような変化が起きている。働くことの意味、組織への帰属感、生活と仕事のバランス、家族との時間の過ごし方などについての考え方が変わった。

   内田氏は、

「コロナ禍という特殊な要素が引き起こした偶発的な現象というよりも、長期的、必然的に起こるべきことが、コロナをきっかけにいわば早巻きで実現した」

と考えている。

   もう一つがデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化である。コロナ禍で各種取引やサービスの受付でもネットが好まれるようになった。企業は従来とは異なる次元で、顧客接点や取引の処理のデジタル化に取り組み始めた。また、業務遂行のため、自社のオペレーションでもデジタル化を加速させた。結果、マネジメントの本気度も高まった。そして、単に今までのプロセスをデジタル化、IT化するのではなく、「ビジネスモデルを全面的に刷新したり、ビジネスモデルを変更したりする全社改革である」ことが認識されるようになった。

   「経済活動の前提の地殻変動的揺らぎ」としては、カーボンニュートラルへの対応、地政学的リスクが高まる時代の再到来、中間層の地位の不安的化の3点を指摘している。

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